韓国において、大統領が死刑に処される可能性はあるのでしょうか。これは現実的な問題として、現在注目されています。特に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に関連して、内乱罪が適用される可能性が指摘されており、憲法秩序を乱したとして告発される事態が考えられています。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、12月3日に非常戒厳を宣言し、その後解除したものの、この行動が内乱罪に該当する可能性が指摘されています。内乱罪は、憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした場合などに適用され、最高刑は死刑です。
本記事では、韓国の法制度や過去の事例を元に、このテーマについて詳しく解説します。
韓国憲法第84条には「大統領は内乱または外患の罪を除き、在職中に刑事上の訴追を受けない」と定められています。この規定により、内乱罪が成立する場合、現職の大統領であっても捜査・起訴が可能となります。
ただし、内乱罪が成立するには「憲法秩序を乱す明確な故意性」が必要とされ、その立証は非常に難しいとされています。これまで現職大統領が内乱罪で訴追された例はなく、この法律が適用されるかどうかは非常に注目されています。
最近、尹大統領が非常戒厳を宣言した後の対応が問題視されており、憲法秩序を乱したとして内乱罪の適用が検討されています。検察の特別捜査本部はこの問題に対する本格的な捜査を開始し、尹大統領に対して出国禁止措置を講じたと報じられています。
一方で、韓国国会では尹大統領の弾劾訴追案が可決されており、現在は職務が停止されています。この弾劾が憲法裁判所で確定した場合、大統領職を失い、より具体的な刑事責任が追及される可能性が高まります。
韓国の歴史を振り返ると、過去に全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が1980年に非常戒厳令を拡大した件で内乱罪で有罪判決を受けた事例があります。この時、全斗煥元大統領は死刑判決を受けましたが、後に減刑され、死刑が執行されることはありませんでした。
ただし、全斗煥元大統領のケースは退任後の起訴であり、現職大統領が在任中に内乱罪で起訴された例はありません。
現在の尹大統領に関する内乱罪の適用が進んだ場合、法的には死刑の可能性があります。しかし、内乱罪の立証の難しさや、過去の事例で実際に死刑が執行されなかったことを考えると、その可能性は不透明です。また、政治的・国際的な影響も考慮されるため、仮に有罪となった場合でも、死刑が執行されるとは限りません