Japan Luggage Express
Japan Luggage Express Ltd.

WHOの資金源・拠出金

WHOの資金源・拠出金

WHO(世界保健機関)の資金源について

WHO(World Health Organization、世界保健機関)は、国際的な保健問題を解決するためのリーダー的存在として、1948年に設立されました。その活動を支えるためには多額の資金が必要です。今回は、WHOの資金源について詳しく解説し、その仕組みや課題について掘り下げていきます。


WHOの資金源の構成

WHOの財源は主に以下の2つのカテゴリーに分けられます。

1. 会費(Assessed Contributions)

加盟国が義務的に支払う金額です。

  • 算出基準: 各国の経済規模や人口などに基づいて分配されます。国連の加盟国である194カ国すべてが支払義務を負います。
  • 割合: WHO全体の予算の10〜20%程度を占めるのみで、近年では割合が減少しています。
  • : アメリカや中国、日本などの経済規模が大きい国が比較的高額の会費を負担しています。

2. 任意拠出金(Voluntary Contributions)

加盟国や民間団体、国際機関、個人などが自主的に提供する資金です。

  • 特徴: WHOの予算の80〜90%を占める最大の資金源です。
  • 主な提供者: 各国政府、財団(例:ビル&メリンダ・ゲイツ財団)、企業、国連の他の機関(例:ユニセフや世界銀行)など。
  • 課題: 任意拠出金は特定のプロジェクトや活動に指定されることが多く、WHOの自由裁量で使える資金が限られます。

具体的な資金拠出者

1. 政府

各国の政府からの任意拠出金が大きな割合を占めます。アメリカ、ドイツ、イギリス、日本などが主要な拠出国です。

2. 財団や民間団体

民間セクターからの資金も重要な役割を果たしています。

  • ビル&メリンダ・ゲイツ財団: WHOへの最大の民間出資者であり、毎年多額の寄付を行っています。主に感染症対策や母子保健分野のプロジェクトに資金を提供しています。
  • GAVIアライアンス: ワクチン普及を目的とした国際的な団体で、WHOとも密接に連携しています。

3. 国連機関や国際金融機関

  • 国連の他の機関や世界銀行などがプロジェクトベースで資金を提供します。

WHO会費(分担金) 上位国ランキング(2023年)

分担金は、WHOにおける「会費」に該当します。正式にはAssessed Contributions(査定拠出金)**と呼ばれ、各加盟国が義務的に支払う資金です。

順位 国名 分担率(%) 分担金額(推定、百万ドル)
1 アメリカ 22.000 約115.0
2 中国 20.004 約104.6
3 日本 6.930 約36.3
4 ドイツ 4.203 約22.0
5 イギリス 4.000 約21.0
6 フランス 3.940 約20.6
7 イタリア 3.312 約17.4
8 カナダ 2.734 約14.3
9 韓国 2.180 約11.4
10 オーストラリア 2.210 約11.6

ポイント

  1. アメリカが最大の分担金支払国: 分担率22%で最も高額の資金を提供しています。
  2. 中国が急上昇: 経済規模の拡大に伴い、分担率が大幅に増加。
  3. 日本の位置: 経済大国として第3位にランクイン。
  4. ヨーロッパ諸国: ドイツ、イギリス、フランス、イタリアなど、EU加盟国が上位を占めています。

注意点

  • 金額は推定値: 各国の分担率をWHOの年間予算約5.2億ドルに基づいて計算しています。実際の金額は若干異なる場合があります。
分担金(会費)の特徴
  • 義務的: 各国がWHOの運営を支えるために負担する義務があります。
  • 算出基準: 国連で定められる分担率に基づいて決まり、国の経済規模や支払い能力を反映しています。
  • 使用用途: 主にWHOの基礎運営費や重要な保健事業の基盤を支えるために使用されます。

一方で、「任意拠出金」(Voluntary Contributions)は加盟国や民間団体が自主的に提供する資金で、使用用途が特定のプロジェクトや活動に限定されることが多いです。

WHOの財政構造を理解する際には、この分担金(会費)と任意拠出金の区別が重要です!

WHOへの任意拠出金 上位拠出者リスト

2020年時点でのWHOへの主な任意拠出金の拠出者の上位リストです。

順位 拠出者 金額(百万ドル)
1 米国 851.6
2 財団(ビル&メリンダ・ゲイツ財団) 455.3
3 GAVIアライアンス 388.7
4 日本 233.9
5 ドイツ 218.7
6 世界銀行 161.5
7 英国 151.2
8 国連開発計画(UNDP) 120.5
9 欧州連合(EU) 115.3
10 カナダ 110.7

ポイント
  1. 米国が最大の拠出者: 米国はWHOの主要な任意拠出金提供国であり、感染症や公衆衛生対策を中心に多額の資金を提供しています。
  2. 民間の役割: ビル&メリンダ・ゲイツ財団やGAVIアライアンスなど、民間財団や国際機関が上位に位置しています。
  3. 多国間機関の寄与: 世界銀行や国連開発計画(UNDP)なども重要な支援者です。

このリストを見ると、WHOの財政は多様な拠出者に支えられている一方で、米国や特定の財団への依存度が高いことがわかります。今後の財政基盤の安定化に向けた改革の動向が注目されています。

WHOの財政における課題

1. 資金の偏り

任意拠出金に依存しているため、資金の用途が提供者の意向に左右される傾向があります。これにより、WHOが独自に優先すべき分野への投資が制限される可能性があります。

2. 財政の不安定性

会費収入が減少し、任意拠出金への依存が高まる中で、提供者の経済状況や政治的動向に影響を受けやすくなっています。

3. 持続可能性の確保

新興感染症や気候変動による健康リスクへの対応など、新たな課題が増加する中で、資金の持続可能性が懸念されています。


近年の動向と取り組み

WHOは資金調達の透明性と効率性を向上させるため、いくつかの改革を進めています。

  • 「WHO財政枠組み」(WHO Financing Framework) の導入: 資金源の多様化や効率的な予算運用を目指す。
  • 民間セクターとの連携強化: 企業との協力を通じた資金調達やプロジェクト推進。

結論

WHOは、世界の健康を守るために多岐にわたる活動を行っていますが、その財源は加盟国の会費だけでなく、任意拠出金に大きく依存しています。この資金構造は、活動の柔軟性や持続可能性に影響を与える一方で、特定分野の重点化をもたらすという利点もあります。

WHOの財政基盤を安定させるためには、加盟国の会費増額や新たな資金調達手法の模索が必要です。また、私たち一人ひとりがWHOの活動に関心を持ち、その役割を理解することも重要です。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *