アメリカは世界的に有名なスポーツを数多く生み出してきました。野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケー(アメリカ独自の発展を遂げたもの)、ラクロスなど、アメリカ発祥またはアメリカで発展したスポーツは、今日では世界中で楽しまれています。本記事では、すべてのアメリカ発祥のスポーツを詳しく解説し、それぞれのスポーツがどのように発展し、どのように世界に広がったのかを紹介します。
野球は、19世紀初頭のアメリカで確立されたスポーツであり、アメリカ文化の象徴ともいえる存在です。元々はイギリスのクリケットやラウンダーズといった競技に影響を受けつつ、アメリカ独自のルールで発展しました。
野球のルールを体系化したのは アブナー・ダブルデイ という説もありますが、実際には アレクサンダー・カートライト が1845年に「ニッカーボッカー・ルール」と呼ばれる規則を定めたのが公式な始まりとされています。
1869年にはシンシナティ・レッドストッキングスが初のプロチームとして結成され、1876年にはナショナルリーグ(現在のMLBの前身)が発足しました。
アメリカで生まれた野球は20世紀初頭に日本、キューバ、韓国、台湾などに広がり、今では北中南米、アジア、ヨーロッパなどでプレーされています。特に日本ではNPB(日本プロ野球)がMLBに次ぐ人気を誇り、また多くの日本人選手がMLBで活躍しています。
アメリカンフットボールは、ラグビーを元にしてアメリカ独自のルールを加えて発展したスポーツです。1869年、プリンストン大学とラトガース大学の試合が最初の公式ゲームとされています。
特に、ウォルター・キャンプ(Walter Camp)がルールを体系化し、スクリメージ、ダウン制、クォーターバックなどの要素を取り入れたことで、現代のアメリカンフットボールの形が完成しました。
1920年には NFL(ナショナル・フットボール・リーグ) が創設され、現在ではアメリカ最大のスポーツリーグとして知られています。
アメリカンフットボールはアメリカ国内では絶大な人気を誇り、スーパーボウルは世界最大級のスポーツイベントとなっています。ただし、アメリカ以外ではカナダ、ヨーロッパ、日本などでリーグが存在するものの、野球やバスケットボールほどの国際的な広がりはありません。
バスケットボールは、1891年にジェームズ・ネイスミス(James Naismith) が考案したスポーツで、最も明確に「アメリカ発祥」と言える競技の一つです。
ネイスミス博士は、冬でも体育館でできるスポーツを考案するよう指示され、桃の籠(バスケット)を使ってボールを投げる競技を作りました。これが現在のバスケットボールの起源です。
その後、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)が発展し、マイケル・ジョーダンやレブロン・ジェームズといったスーパースターが登場し、世界的なスポーツとなりました。
バスケットボールは現在、FIBA(国際バスケットボール連盟)を中心に世界中でプレーされており、アメリカのNBAが世界のトップリーグとして圧倒的な人気を誇ります。特に中国、ヨーロッパ、日本などで人気が高く、NBAドラフトには世界中から才能ある選手が集まります。
アイスホッケーの起源はカナダですが、アメリカでも独自の発展を遂げました。1893年にはスタンレーカップが創設され、アメリカにも広がっていきました。
特にNHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)がアメリカの都市にフランチャイズを持ち、現在ではアメリカ国内でも人気のスポーツとなっています。
アイスホッケーはアメリカだけでなく、カナダ、ロシア、スウェーデン、フィンランドなどでも盛んであり、冬季オリンピックでも重要な競技となっています。
ラクロスは、実は ネイティブアメリカン(先住民) が古くから行っていた競技が元になっています。元々は戦士の訓練や儀式の一環として行われていましたが、19世紀にアメリカとカナダでルールが統一され、スポーツとして確立されました。
現在では、特にアメリカとカナダで盛んなスポーツとなり、プロリーグ(PLL)も設立されています。
ラクロスはアメリカとカナダで人気があるものの、他のスポーツに比べると国際的な広がりは限定的です。しかし、オーストラリアやイギリス、日本などでもプレーされるようになっています。
ソフトボールは、1887年にシカゴで野球の室内版として考案されました。野球よりも小さなフィールドでプレーできるため、女性や子供にも親しみやすいスポーツとして発展しました。
特に女子ソフトボールはオリンピック競技にも採用され、日本でも非常に人気があります。
日本やオーストラリアでは女子ソフトボールが非常に強く、特に日本はオリンピックで金メダルを獲得するなど、世界的な強豪国となっています。
アメリカ発祥のスポーツには、野球やバスケットボール、アメリカンフットボールのような有名な競技以外にも、比較的マイナーだが歴史やユニークなルールを持つスポーツがいくつか存在します。以下に、あまり知られていないがアメリカで生まれたスポーツを紹介します。
ボウリングの起源自体は古代エジプトやヨーロッパに遡りますが、現在の10ピンボウリングはアメリカで発展しました。 19世紀後半にドイツ移民がニューヨークに持ち込んだ「9ピンボウリング」が禁止されたため、1本ピンを増やして10ピンボウリングが誕生しました。
1895年には アメリカン・ボウリング・コングレス(ABC) が設立され、ボウリングがスポーツとして組織化されました。
ボウリングは現在、世界中で楽しまれていますが、特にアメリカでは競技人口が多く、プロボウリングリーグ(PBA)もあります。日本やヨーロッパ、韓国でもプロリーグが存在し、国際的な大会も開かれています。
1930年代のアメリカで誕生したローラーダービーは、ローラースケートを使ったコンタクトスポーツです。トラック上を周回しながら、相手チームのプレイヤーを追い抜くことで得点するというルールが特徴的です。
1970年代には一度衰退しましたが、2000年代に女性リーグが再興し、再び人気を集めました。
アメリカで生まれたスポーツの中でも、特に女性人気が高く、ヨーロッパ、日本、オーストラリアなどにも競技チームが存在しています。
フリスビー自体は1930年代にアメリカで開発されましたが、競技としての 「アルティメット(Ultimate)」 は1968年にアメリカの高校生によって考案されました。バスケットボールやサッカーの要素を取り入れた、身体接触のないチームスポーツとして人気があります。
また、フリスビーを使った 「ディスクゴルフ(Disc Golf)」 も1970年代にアメリカで誕生し、ゴルフのようにコース内の目標(バスケット)にフリスビーを投げて入れる競技として世界的に広がりました。
アルティメットは現在、国際大会も開かれ、日本やヨーロッパ、オーストラリアなどで広くプレーされています。ディスクゴルフもアメリカ国内では非常に人気が高く、プロツアーが存在します。
フットバッグは1972年にアメリカで考案された、小さな袋(ハックサック)を足でリフティングするスポーツです。サッカーのリフティングに似ていますが、よりトリッキーな動きが求められます。
フリースタイル要素が強く、バランス感覚や柔軟性が重要な競技です。
現在では世界的な大会も開催され、特にアメリカやヨーロッパで人気があります。日本でも一部のストリートパフォーマーやスポーツ愛好家がプレーしています。
「4ベース」は学校の校庭や公園で遊ばれる子供向けのスポーツで、4つの四角いエリアを使い、ボールを手で弾いて相手のエリアに送るゲームです。シンプルながら、反射神経や戦略が求められます。
アメリカでは子供たちの遊びとして定着しており、大人向けのトーナメントも存在します。ただし、世界的な普及はあまり進んでいません。
ドッジボールの起源は諸説ありますが、現在の形はアメリカで確立されました。ボールを投げて相手に当て、全員アウトにすることで勝利するというシンプルなルールが特徴です。
日本でも学校でよくプレーされるため、日本発祥と勘違いされることがありますが、実際にはアメリカでルールが統一されました。現在では国際ドッジボール連盟(WDA)があり、アジアやヨーロッパでも競技として楽しまれています。
キックボールは、野球のルールを基にして、バットの代わりにボールを蹴るという競技です。20世紀初頭にアメリカで子供向けの遊びとして生まれました。
アメリカでは今でも学校の体育の授業で行われていますが、世界的にはあまり普及していません。しかし、野球をプレーできない環境の子供たちにとっては、手軽に楽しめるスポーツとして根付いています。
これは実際の競技ではなく、アメリカの漫画『カルヴィンとホッブス(Calvin and Hobbes)』に登場する架空のスポーツです。「ルールが毎回変わる」という設定で、プレイヤーが即興でルールを作ることができるため、究極の自由なスポーツとも言えます。
漫画の中で描かれているオリジナルのスポーツですが、ネット文化の影響で、ジョークとして実際にプレーする人も増えており、イベントとして遊ばれることもあります。
アメリカ発祥のスポーツは、野球やバスケットボールのような国際的に有名なものだけでなく、比較的マイナーながらユニークな競技も数多く存在します。
これらのスポーツは、今後の世界的な普及の可能性もあるため、注目していくと面白いかもしれません。