トランプ関税・消費税も標的に

トランプ大統領が「消費税も関税とみなす」と発言

トランプ前大統領が「消費税も関税とみなす」と発言したことが話題になっています。しかし、この発言について勘違いしている人も多いようです。発言の背景や意図を正しく理解することが重要です。

よくある勘違い

例えば、

• 「トランプ関税によって日本国内の消費税が廃止されるのでは？」
• 「米国も消費税を導入するということか？」

といった意見が見られます。しかし、これは大きな誤解です。

トランプ氏の発言は、特定の国の国内税制そのものを変えようとするものではなく、輸入品に対して課される税の仕組みに注目したものです。彼の主張は、輸入時に課される消費税が実質的に関税と同じ役割を果たしているという点にあります。

トランプ氏の主張とは？

トランプ氏が「消費税も関税とみなす」と言っているのは、日本をはじめとする多くの国では輸入品に対して、

• 関税（輸入時の税金）
• 消費税（日本では10%）

が課されており、これが輸入品に対する「隠れた関税」となっているという主張です。

例えば、日本の企業が国内で製造した製品を海外に輸出する場合、消費税が免除されます。一方、海外から日本に輸入される製品には輸入する際に10%の消費税が課されます。関税の他に別途消費財がかかるのです。この仕組みは、海外の企業にとって不利な状況を生み出す可能性があるとトランプ氏は考えています。

つまり、国内の商取引でかかる消費税（例えば、日本国内で買い物をする際にかかる10%の消費税）について言及しているわけではありません。 これはあくまで国際貿易に関する議論であり、日本国内の消費税制度そのものを直接批判したわけではありません。

トランプ氏の発言の背景

トランプ大統領が「消費税を関税とみなす」と発言した背景には、国際貿易における税制の不均衡に対する懸念があります。具体的には、多くの国が付加価値税（VAT）や消費税を導入しており、輸出品にはこれらの税を免除し、輸入品には課税する仕組みを採用しています。

（アメリカでは輸入品に対して消費税は課していません。）

このような仕組みが存在することで、外国から企業が輸入品として販売する際には追加の税負担が発生します。これが米国製品の競争力を損なう要因になっているとトランプ氏は主張しているのです。

一方、米国には全国的な消費税が存在しません。州ごとに異なる売上税が課されていますが、国全体の仕組みとしての消費税はありません。そのため、輸入品に対する課税の仕組みが異なり、結果的に米国の企業が他国と比較して不利な状況に置かれるとトランプ氏は考えています。このため、彼は相互関税の導入や、他国の消費税制度を関税と同等に扱うことで、貿易の公平性を図ろうとしています。

商品の輸入時には関税と消費税が課せられる

トランプ大統領が関税と同様に撤廃した方がよいと考えているのは私たちが日々の商取引の際に課せられている消費税の事ではなく、海外から商品を輸入した際に支払われる消費税の事です。

日本の場合、輸入品には日本への輸入時に品物の CIF価格に関税(品物によって異なる）並びに10%消費税の両方が課税されるます。

CIF価格とは： 買値(Cost)、保険(Insurance),海上運賃または航空運賃（Ｆreight）
の合計

どういうことかと言うと、例えば　品物の値段(100万円）、船賃(50万円）、保険料(7万円）
だった場合CIF価格は157万円となり、関税（商品により税率が異なり）と消費税（１０％）
がかかります。

トランプ大統領の主張はこの輸入時にかかる消費税は、関税と同じではないか、輸入消費税がなければアメリカの商品がもっと安く輸入でき、市場でも価格的な競争力が増す。　だから輸入消費税は撤廃しろと言っているのです。

トランプ氏の提案とその影響

トランプ氏は、米国製品の競争力を高めるために、相互関税の導入を検討するべきだと述べています。つまり、他国が輸入品に消費税を課すのであれば、米国も同様の措置を取るべきだという考え方です。

この提案が実現すれば、米国が輸入品に対して追加の関税を課す可能性があり、それによって米国内の製造業が恩恵を受けることが期待されています。しかし、同時にこの政策が国際的な貿易摩擦を引き起こす可能性もあります。特に、日本や欧州の国々が反発することが予想され、貿易交渉の新たな火種となる可能性があります。

まとめ

トランプ氏の発言は、輸入品に課される消費税が「関税と同じではないか」という考えに基づいています。日本国内の消費税そのものが影響を受けるわけではないので、勘違いしないようにしましょう。

また、彼の主張の背景には、米国の企業が不利な状況に置かれているとする考えがあり、それを是正するための措置として相互関税の導入などを検討しています。この問題は、今後の国際貿易政策にも大きな影響を与える可能性があるため、引き続き注目すべきトピックです。