コルビー国防次官・経歴

エルブリッジ・コルビー国防次官候補の経歴とその影響

エルブリッジ・コルビー（Elbridge Colby）は、アメリカの国家安全保障分野で著名な戦略家・官僚であり、特に国防政策において重要な役割を果たしてきました。本記事では、コルビー国防次官の経歴を時系列で整理し、その影響について詳しく解説します。

​エルブリッジ・コルビー国防次官はアメリカの国家安全保障分野で著名な戦略家・官僚です。​祖父は元CIA長官のウィリアム・コルビー氏であり、父親のジョナサン・コルビー氏はカーライル・グループのシニアアドバイザーを務めています。​幼少期の一部を日本で過ごし、西町インターナショナルスクールやアメリカンスクール・イン・ジャパンに通学した経験があります。

幼少期と教育

• 1980年代後半〜1990年代前半
  • アメリカの名門家庭に生まれる。祖父は元CIA長官のウィリアム・コルビー。
  • 幼少期の一部を日本で過ごし、西町インターナショナルスクールやアメリカンスクール・イン・ジャパンに通う。
  • 日本での経験が、後のアジア戦略への関心を深める契機となったと考えられる。
• 2002年
  • ハーバード大学を卒業。
  • 政治学を専攻し、国際関係や安全保障の理論を学ぶ。
• 2005年
  • イェール大学ロースクールを卒業し、法律の専門知識を習得。
  • 国際法や安全保障法に強い関心を持つ。

初期のキャリアと政府職歴

• 2003年
  • イラク戦争後の統治機関「イラク連合国暫定当局（CPA）」に勤務し、復興政策の策定に関与。
  • 米軍主導の戦後統治において、法制度改革や治安維持政策の策定に携わる。
• 2005年〜2006年
  • 国家情報長官室（Office of the Director of National Intelligence, ODNI）の立ち上げに関与。
  • 軍備管理や情報改革に関する業務を担当。
  • 特に、大国間競争時代における情報戦のあり方についての戦略策定に貢献。
• 2008年〜2010年
  • ランド研究所（RAND Corporation）に所属し、防衛政策に関する研究を実施。
  • インド太平洋地域の軍事戦略や、中国の軍備拡張に関する研究に従事。

国防総省での活躍

• 2017年〜2018年
  • 米国国防総省 戦略・戦力開発担当国防副次官補（Deputy Assistant Secretary of Defense for Strategy and Force Development） に就任。
  • 2018年の「国防戦略（NDS）」の策定に主導的な役割を果たす。
  • 中国・ロシアとの大国間競争を強調し、アメリカの防衛戦略を再構築。
  • 具体的には、中国の軍事的脅威に対抗するため、インド太平洋地域での同盟国との協力強化を提言。
  • 台湾防衛における米軍の役割についても議論を深めた。

政府外での活動と戦略家としての影響

• 2018年〜2021年
  • 新アメリカ安全保障センター（CNAS）の防衛プログラムディレクターを務める。
  • 米国の軍事戦略やインド太平洋地域の安全保障に関する研究を行う。
  • 複数のシンクタンクと協力し、中国の経済・軍事的台頭に対抗する戦略を提言。
• 2021年
  • 著書『The Strategy of Denial: American Defense in an Age of Great Power Conflict』を出版。
  • 米国の防衛戦略における「拒否戦略（Strategy of Denial）」を提唱。
  • ウォール・ストリート・ジャーナルの2021年のトップ10冊に選出。
  • 「拒否戦略」とは、敵対国が軍事行動を起こしにくくする抑止戦略であり、中国の台湾侵攻を防ぐための重要な概念として注目された。
• 2023年
  • 著書の日本語版『拒否戦略：中国覇権阻止への米国の防衛戦略』が出版され、日本の防衛政策にも影響を与える。
  • 日本の防衛費増額議論にも影響を及ぼし、自衛隊の役割拡大についての議論が活発化。

2024年以降の動向

• 2024年12月
  • ドナルド・トランプ次期大統領より「政策担当国防次官（Under Secretary of Defense for Policy）」に指名される。
  • 上院の承認を経て正式就任。
  • これにより、米国の国防政策における実務的な決定に大きく関与する立場となる。
• 2025年3月現在
  • コルビー国防次官候補は政策担当国防次官として正式に職務を遂行しており、中国・ロシアとの対立を背景に、アメリカの防衛戦略を強化するための具体的な施策を進めている。
  • 特にインド太平洋地域の安全保障に注力し、日本や韓国との同盟強化を推進している。
  • 台湾防衛の強化策として、米軍の駐留拡大や軍事支援の増額を検討。
  • また、欧州におけるNATOの役割にも注目し、ロシアの影響力拡大に対抗するための戦略を模索している。

日本で幼少期を過ごしたコルビー国防次官は親日？

エルブリッジ・コルビー氏は、個人的に親日家として知られています。​彼の父親がかつて日本に駐在していた関係で、日本に対して親しみを持っているとされています。 ​
ただし、彼の親日的な姿勢は、日本に対して優しいだけでなく、日本の安全保障や日米同盟の将来に強い関心を持ており、厳しい提言を行うこともあります。​例えば、日本の防衛費をGDP比で少なくとも3％に引き上げるべきだと主張しています。 ​
また、彼の著書『拒否戦略：中国覇権阻止への米国の防衛戦略』が日本語で出版されており、日本の防衛政策にも影響を与えています。 ​

これらの点から、コルビー国防次官候補は基本的には親日家であり、日本の安全保障に深い関心を持っていると言えます。

まとめ

エルブリッジ・コルビー国防次官は、戦略家・政策立案者として、米国の防衛政策に大きな影響を与えてきました。特に中国との大国間競争を重視し、米国の軍事戦略の方向性を決定づける役割を果たしています。彼の提唱する「拒否戦略」は、今後の米国防政策の基盤となる可能性が高く、日本を含む同盟国の安全保障戦略にも大きな影響を与えています。今後も彼の政策が米国の安全保障にどのような影響を与えるのか注目されます。