最近の話題として、旧ジャニーズ事務所が新しい社名「Smile-up.」を採用したことが注目を集めています。この新しい名称に関して、「Smile-up」の正確な意味や和訳を知りたいと思っている方も少なからずいるようです。そう思っている方は知的好奇心の持ち主です。
Smile-Upとはどういう意味なのでしょうか?
まず、基本的な英語の用法から考えると、「Smile up」というフレーズは一般的ではありません。英語で他の人に微笑むときの表現は通常「smile at someone」であり、単に微笑むことを促す場合は「Smile!」となります。
Smile up!と命令形で言えば英語のネイティブはきっと「??」となるでしょう。(単にSmileと言いたいんだな、と推測はしてくれるでしょうが。)
今回のジャニーズの新名称の場合「Smile-up」という言葉は、おそらく一般的な英語の知識がない人が作り出した和製英語の可能性が考えられます。英語などの外国語の語句を使用して社名など名前をつける時は、その言語で本当にそういった表現があるのか、正しい表現なのかを常に確かめることが大切といえるでしょう。しかし、言語の面白さとは、その柔軟性や新しい表現の創出の可能性にもあるとも言えます。
背の低い人が背の高い人を見上げながら微笑む場面ならば「smile up at someone」という表現が成り立つかもしれません。ただ、これは「smile at」に「up」という方向性を加えた表現であってsmile upが通常の英語の表現であるとは言えないでしょう。
命令形としての「Smile up!」という表現は確かに存在しませんが、ジャニーズ事務所が選んだこの名前には、おそらく今回のジャニー喜多川氏の騒動でトーンダウンした展開から脱却し、ネガティブなイメージを払拭したいという背景があるためポジティブでかつ簡単な語句を選んで組み合わせたものを新社名にしたと思われます。ブランドや事務所の名前の選択には、多くの場合、その背後にストーリーや思いが込められています。
ジャニーズの新名称を決めるに当たってSmile upのスラングの意味までは考えてはいなかったでしょうが、アメリカのスラングで「smile up」は、「人に対して作り笑いをして、気に入ってもらおうとする」という意味があります。また、「異性に対して、好意を示すために、作り笑いをして、可愛らしく振る舞う」という意味もあります。
例えば、
というように使われます。
「smile up」は、一般的にネガティブな意味合いで使われます。その人の本心が見えないという意味で、「作り笑い」や「媚び」と捉えられることが多いです。そのため、ビジネスやフォーマルな場では、あまり使われません。
このSmile upのスラングとして意味の認知度はアメリカで50%位と思われます。
スラングの意味にあまり良くないニュアンスがあるからと言ってSmile Upは悪いネーミングであると言うのも良くないでしょう。シンプルな単語にはスラングでネガティヴな意味がある場合が多くあります。例えば、Lemonには欠陥品とか、愚か者と言った意味がありますし、Frenchという言葉には、スラングで汚らしいとか、いやらしいという意味があります。
ジャニーズがビジネスとしてターゲットとしているのはハイエンドの音楽愛好家ではないですよね。ターゲットとしているのは言ってみれば、流されやすい人たちです。所属タレントグループ名を見てみても、どんな人でも一発で覚えられるような極めて短い言葉で、多くの場合、誰もが知っているような簡単な言葉そのもの、あるいは簡単な言葉を組み合わせて名付けられていると言えます。Smile-up.という社名もこの原則に則ってますね。
SMAPの場合は、造語ですが、これは子供が好むMとPという音声学でいうところの両唇音を組み合わせた音を重視したネーミングと言えます。推測ですが、Smile upというネーミングはSMAPが命名された時点ですでに存在していた可能性があります。SMAPのネーミングの際はSmile-upをベースとして→Sm-up→SMAPと変化させたことが考えられます。(Smupだとどう発音したらいいか不明確ですよね。) ですのでSmile-upというネーミングはSMAP結成時には候補としてすでに存在していて、最終的にそれを短縮したSMAPが採用されたためグループ名として使用されずそのままお蔵入りしていた可能性が考えられます。
言葉やフレーズの標準的な使い方を超えた独自の命名は、新しい魅力や印象を生み出すことができたり、そういった思いや願望が込められたりもします。大変な騒動となってしまい今後もネガティブなイメージが当面はつきまとうことでしょうが、旧ジャニーズ事務所の新しいステップとしての「Smile-up.」が役割を果たし、有望な所属タレントさんたちの今後の展開を期待しましょう。
「Smile-up」は正しい英語とはいえませんが、報道の際にGo to Travelといった変な和製英語がそのまま広く世界的に使われたように「Smile-up」も海外で報道され時は普通に使用されるものと思われます。
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