February 12, 2025
「コウモリ外交」という言葉は、二つの異なる勢力の間で立ち回り、どちらにも明確に与しない外交姿勢を指す比喩表現です。これはイソップ寓話『コウモリと獣と鳥』に由来し、コウモリが鳥と獣の間を行き来して最終的には両方から嫌われるという話から生まれました。
コウモリ外交の基本的な特徴として、以下の点が挙げられます。
19世紀の中国は、列強諸国の圧力の中で「コウモリ外交」を展開しました。欧米列強と日本の間で微妙なバランスを取ろうとした結果、どちらからも利用され、最終的には半植民地化されることになりました。
スイスは第二次世界大戦中、中立を維持しつつもナチス・ドイツとも連合国とも一定の関係を持ち続けました。この立場により戦争には巻き込まれませんでしたが、戦後にはナチスとの関係を疑問視される場面もありました。
東南アジアの国々、特にフィリピンやベトナムは、アメリカと中国の対立の中で「コウモリ外交」を行っていると言われます。両国の経済・安全保障上の影響を受けながらも、一方に偏りすぎない姿勢を取ることで自国の利益を確保しようとしています。
コウモリ外交は、国際政治において柔軟な戦略として機能することもあれば、最終的に信頼を失うリスクも伴います。状況によっては有効な手法ですが、行き過ぎると「どっちつかず」と見なされ、孤立を招く危険性があります。現代の国際関係においても、多くの国がこの戦略を採用しながら慎重に立ち回っているのが実情です。