ネット通販や海外からの個人輸入、企業の国際取引が一般化した今、「輸入消費税」の存在を無視できない時代となっています。
「関税とは違うの?」「配達のときにお金を払ったけど、あれがそう?」「経理ではどう処理するの?」など、多くの疑問が寄せられる中、本記事では輸入消費税とは何か?誰がいつどこに支払うのか?を中心に、実務や制度上の注意点も含めて詳しく・実用的に解説していきます!
輸入消費税とは、海外から商品を輸入した際に、日本国内で課される消費税のことです。
日本国内で商品やサービスを購入する際に消費税(2025年現在、10%)が課税されるように、海外から持ち込んだ商品にも、国内消費と同じ扱いで課税されます。
これは、国内事業者と輸入業者との間で課税の公平性を確保するための制度です。
輸入消費税の支払いに関する基本的な関係を整理しておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
支払う人 | 輸入者(個人・企業問わず) |
支払うタイミング | 輸入通関時(=商品が日本に入ってくるとき) |
支払先 | 税関(国)*通関業者を利用の場合は直接税関に払うのではなく、通関業者経由で税関に支払う(通関業者が立て替え) |
企業などが商用目的で商品を輸入する場合、**通関業者(フォワーダーや乙仲)**を利用するのが一般的です。
企業が通関業者に輸入手配を依頼
通関業者が税関に対して、関税+輸入消費税を立替納付
商品が通関・搬入されたのち、企業に対して請求書発行
請求書には以下の項目が含まれることが多い:
関税
輸入消費税
通関手数料
港湾施設利用料
ドレー費用(トラック輸送)
書類作成費用 など
このように、実際の支払先は「通関業者」だと誤認されがちですが、元をたどれば国(税関)への納税です。通関業者はあくまで代理・立替払いをしているだけという点を理解しておきましょう。
輸入消費税は、以下の数式で算出されます:
輸入消費税 = (CIF価格 + 関税 + その他税) × 10%
C(Cost):商品価格
I(Insurance):保険料
F(Freight):国際運賃
つまり、商品自体の価格だけでなく、国際送料や保険料までもが課税対象になります。
個人でAmazon USやeBayなどを利用した場合、次のような流れになります:
税関がCIF価格と品目を基に課税額を決定
配送業者(例:日本郵便、ヤマト、FedExなど)が一時立替
商品配達時に、着払いのように受取人が輸入消費税を支払う
この時、関税や通関手数料が含まれていることもあるため、明細の確認がおすすめです。
CIF価格が10,000円以下の物品は、課税免除の対象となることがあります(簡易通関の範囲内に限る/酒・たばこ等除く)
以下のような物品は、法律により消費税が非課税とされています:
書籍・新聞(知的財産)
義足・義手・補聴器などの医療用具
身体障害者用器具 など
日本国民が海外旅行から帰国する際に持ち帰る物品は、20万円以下まで免税対象となります(課税対象数量を超えた場合は除外)
税の種類 | 内容 | 納付先 |
---|---|---|
輸入消費税 | 輸入品にかかる国内消費税 | 税関(国) |
関税 | 品目・原産地によって異なる輸入税 | 税関(国) |
国内消費税 | 国内で商品やサービスを購入した際の税 | 店舗→国税庁 |
2023年に導入された「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」により、消費税の仕入税額控除にはインボイス保存が必要になりました。
輸入消費税も、次の条件で仕入税額控除が可能です:
税関で発行される「輸入許可通知書(納税申告書)」を保管
「納税額」「品目」「課税価格」が記載されていること
つまり、輸入者(企業)はインボイスの代わりとして税関書類を保管し、消費税の控除を受けられます。
「贈り物扱い(Gift)」でも高額だと課税される
海外通販の「送料込み価格」表示でも、CIF基準で再評価されることがある
業者によっては「関税や消費税が含まれていない」ケースもあるため要確認
国際便の「通関料」は業者ごとに異なるため、複数社比較がおすすめ
輸入消費税は「商品価格+送料+保険+関税」に対して10%課税される日本の消費税
誰が払う?→ 輸入者
いつ払う?→ 通関時
誰に払う?→ 税関(通関業者が代理で支払い)
ネット通販や個人輸入にもかかる可能性あり
免税条件や非課税品の確認がコスト削減のカギ!
これから海外との取引を検討している方や、すでに通関業務に携わっている方はもちろん、個人輸入を趣味として楽しむ方にも、輸入消費税の正しい知識は必須です。制度の理解がコストの見積もり精度・経理処理の正確性・税務対応力に直結します。