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非関税障壁・8項目

非関税障壁・8項目

トランプ大統領が警告した「非関税障壁」8項目とは?

2025年4月20日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、自身のSNS「TRUTH Social」にて、“関税以外”の手段でアメリカ製品を締め出す貿易上の不正行為=非関税障壁(non-tariff cheating)のリストを公表しました。

この投稿はイースターの日曜に合わせて行われたもので、トランプ氏は**「アメリカはこれ以上黙っていない」**と強い警告を発しました。彼が列挙した8つの事例は、いずれも過去の米中・米日貿易戦争において話題になった論点ばかり。なかでも注目を集めたのは、**日本の“ボウリング球試験”**という、驚きの例えでした。

この記事では、その8項目からなる非関税障壁のリストの詳細と、各項目の意味、そして「実在しない試験」の真相を分かりやすく解説します。


🇺🇸 トランプ大統領が列挙した“非関税障壁”8項目一覧

以下は、トランプ大統領が「アメリカの産業を不当に苦しめている」として非難した8つの手法です。


1. 通貨操作(Currency manipulation)💱

自国通貨を市場介入などで意図的に安く誘導し、輸出品の価格競争力を高める行為。これによりアメリカ製品は相対的に高くなり、国際市場で不利になります。
特に中国や日本、韓国などが過去にこの問題で非難の対象となってきました。


2. 付加価値税の仕組み(VATs which act as tariffs and export subsidies)📊

たとえば欧州などでは、輸出時にVAT(付加価値税)を還付する制度があります。一方で輸入品には課税されるため、実質的には輸出補助金+輸入関税のような機能を持つと指摘されています。


3. 原価割れ輸出(Dumping below cost)📉

生産コストを下回る価格で製品を海外市場に供給し、競合を潰すという手法。これは特に中国の鉄鋼や太陽光パネル産業などが過去に批判されてきました。アメリカでは「アンチ・ダンピング関税」として対抗する動きも強まっています。


4. 政府補助金(Export subsidies and other government subsidies)💸

各国政府が特定の産業(造船、農業、半導体など)に多額の補助金を投入することで、市場での価格競争力を人為的に強化。トランプ氏は、これはアメリカ企業にとって“アンフェア”だと再三主張しています。


5. 保護的農業基準(Protective agricultural standards)🌾

遺伝子組み換え作物や農薬に対して、科学的根拠が不十分なまま厳しい輸入規制を行うことで、実質的にアメリカの農産物を市場から締め出す行為。EU諸国が主な対象となっています。


6. 保護的技術基準(Protective technical standards)⚙️

ここで登場したのが、“ボウリング球試験”というトランプ氏独自の表現。日本では「車のボンネットにボウリング球を落として、へこんだら安全基準不合格になる」と主張。しかしこれは完全な誤解、もしくは架空のストーリーであり、日本の自動車基準制度(JNCAPなど)にはそのようなテストは一切存在しません。

この発言は2019年にも彼が演説で繰り返しており、日本側では苦笑いと困惑が広がりました。今回再びそれを引き合いに出したことで、「外交問題化」する懸念すらあります。


7. 知的財産の侵害(Counterfeiting, piracy, and IP theft)🔐

中国をはじめとする新興国での海賊版ソフトウェア、偽造ブランド品、特許侵害などを非難。米国の損害は1兆ドル以上とも言われ、これは共和党・民主党問わず一致した懸念事項です。


8. 第三国経由による関税回避(Transshipping to evade tariffs)🚢

本来関税対象である製品を、関係のない第三国を経由させることで**“メイド・イン・○○”の表示を偽装**し、関税を回避する手法。これにより、制裁や貿易制限の意味が薄れてしまうと警告しています。


🔍 なぜ今このリストが出されたのか?

トランプ大統領は再選後、第2期政権で再び「アメリカ第一(America First)」の旗を掲げ、国内製造業の復活を強調しています。その一環として、「関税を超えた戦い=非関税障壁との戦い」へとシフトしているのが今回の特徴です。

このリストは、今後:

  • 日本や中国、EUに対する新たな貿易制裁の正当化

  • WTO(世界貿易機関)における再交渉の圧力

  • 国内産業界への「戦うリーダー」としてのアピール材料

として使われる可能性があります。


🧠 “ボウリング球試験”の背景と実態

この表現は、トランプ氏の印象的なパフォーマンスのひとつで、聴衆に強くアピールするための「例え話」とも言われています。しかし、実際に日本の自動車試験基準を調べると、

  • JNCAPなどの衝突試験では、実際の走行・衝突・歩行者ダミー実験などを用いた高度な評価

  • 物体を車に「落とす」ようなテストは存在しない

  • 車のボンネットの材質や変形は、むしろ歩行者保護の観点から柔らかくする方向に進化している

という実態があります。

つまりこの「ボウリング球」発言は、事実に基づかない**“政治的な演出”**と見る専門家が多数派です。


✍️ まとめ:非関税障壁は現代の「見えない関税」

今回のトランプ大統領の投稿は、従来の“関税”という枠を超えて、「見えない壁=非関税障壁」への本格的な攻撃を宣言する内容でした。

特に日本に関しては、実在しない「ボウリング球試験」を名指ししたことで波紋が広がっています。このような“物語的批判”が外交交渉や政策判断に影響を与える場合、事実確認と冷静な反応が求められる時代となっているのかもしれません。

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