WHO(World Health Organization、世界保健機関)は、国際的な保健問題を解決するためのリーダー的存在として、1948年に設立されました。その活動を支えるためには多額の資金が必要です。今回は、WHOの資金源について詳しく解説し、その仕組みや課題について掘り下げていきます。
WHOの財源は主に以下の2つのカテゴリーに分けられます。
加盟国が義務的に支払う金額です。
加盟国や民間団体、国際機関、個人などが自主的に提供する資金です。
各国の政府からの任意拠出金が大きな割合を占めます。アメリカ、ドイツ、イギリス、日本などが主要な拠出国です。
民間セクターからの資金も重要な役割を果たしています。
分担金は、WHOにおける「会費」に該当します。正式にはAssessed Contributions(査定拠出金)**と呼ばれ、各加盟国が義務的に支払う資金です。
順位 | 国名 | 分担率(%) | 分担金額(推定、百万ドル) |
---|---|---|---|
1 | アメリカ | 22.000 | 約115.0 |
2 | 中国 | 20.004 | 約104.6 |
3 | 日本 | 6.930 | 約36.3 |
4 | ドイツ | 4.203 | 約22.0 |
5 | イギリス | 4.000 | 約21.0 |
6 | フランス | 3.940 | 約20.6 |
7 | イタリア | 3.312 | 約17.4 |
8 | カナダ | 2.734 | 約14.3 |
9 | 韓国 | 2.180 | 約11.4 |
10 | オーストラリア | 2.210 | 約11.6 |
一方で、「任意拠出金」(Voluntary Contributions)は加盟国や民間団体が自主的に提供する資金で、使用用途が特定のプロジェクトや活動に限定されることが多いです。
WHOの財政構造を理解する際には、この分担金(会費)と任意拠出金の区別が重要です!
2020年時点でのWHOへの主な任意拠出金の拠出者の上位リストです。
順位 | 拠出者 | 金額(百万ドル) |
---|---|---|
1 | 米国 | 851.6 |
2 | 財団(ビル&メリンダ・ゲイツ財団) | 455.3 |
3 | GAVIアライアンス | 388.7 |
4 | 日本 | 233.9 |
5 | ドイツ | 218.7 |
6 | 世界銀行 | 161.5 |
7 | 英国 | 151.2 |
8 | 国連開発計画(UNDP) | 120.5 |
9 | 欧州連合(EU) | 115.3 |
10 | カナダ | 110.7 |
このリストを見ると、WHOの財政は多様な拠出者に支えられている一方で、米国や特定の財団への依存度が高いことがわかります。今後の財政基盤の安定化に向けた改革の動向が注目されています。
任意拠出金に依存しているため、資金の用途が提供者の意向に左右される傾向があります。これにより、WHOが独自に優先すべき分野への投資が制限される可能性があります。
会費収入が減少し、任意拠出金への依存が高まる中で、提供者の経済状況や政治的動向に影響を受けやすくなっています。
新興感染症や気候変動による健康リスクへの対応など、新たな課題が増加する中で、資金の持続可能性が懸念されています。
WHOは資金調達の透明性と効率性を向上させるため、いくつかの改革を進めています。
WHOは、世界の健康を守るために多岐にわたる活動を行っていますが、その財源は加盟国の会費だけでなく、任意拠出金に大きく依存しています。この資金構造は、活動の柔軟性や持続可能性に影響を与える一方で、特定分野の重点化をもたらすという利点もあります。
WHOの財政基盤を安定させるためには、加盟国の会費増額や新たな資金調達手法の模索が必要です。また、私たち一人ひとりがWHOの活動に関心を持ち、その役割を理解することも重要です。