February 19, 2025
NHKの大河ドラマ「べらぼう」で引札屋という言葉が出てきます。 地本屋の主人が蔦谷重三郎の事について「あれは本屋なんてもんじゃない、引札屋だ」と言い放つ場面が出てきます。
引札屋(ひきふだや)とは、江戸時代から明治・大正期にかけて盛んに作られた「引札(ひきふだ)」を製作・販売する業者のことを指します。引札とは、現在の広告チラシにあたるもので、商店や商品を宣伝するための印刷物です。
江戸時代の商業の発展とともに、商人たちは自らの店や商品の宣伝をする必要が生じました。そのため、浮世絵の技術を応用し、色鮮やかで目を引く引札が作られるようになりました。これを専門に手がける職人や業者が「引札屋」として発展していきました。
引札は、主に次のような特徴を持っています。
引札屋の仕事は、デザインから印刷、販売まで多岐にわたります。特に、
また、明治以降になると、西洋の印刷技術が導入され、引札もより多様化していきました。大正時代には、写真や金箔を使った豪華なものも登場しました。
現在では、引札のような広告は新聞折込チラシやデジタル広告に取って代わられていますが、引札屋が生み出した視覚的に魅力的な広告文化は、現代の広告デザインにも影響を与えています。また、一部の地域では伝統文化として引札を復刻し、展示する試みも行われています。
引札屋は、江戸時代から昭和初期まで栄えた広告文化を支えた職業であり、当時の商業発展に大きく貢献しました。鮮やかなデザインと縁起の良いモチーフを使った引札は、単なる広告にとどまらず、庶民文化の一部として親しまれていました。現在では姿を消しつつありますが、広告デザインのルーツとして、その影響は今なお感じられます。