間夫（まぶ）とは？

吉原遊郭における遊女の「本当の男」

NHK大河ドラマ「べらぼう」で「間夫（まぶ）」という言葉が出てきます。 この言葉は、吉原遊郭をはじめとする遊郭文化において、遊女にとって特別な存在を指します。

1. 「間夫」とは何か？

「間夫（まぶ）」とは、遊女にとっての本当の恋人や愛人の男性のことを指します。吉原などの遊郭では、遊女は客と疑似恋愛をすることが仕事でしたが、中には本当に心を許し、愛する相手を持つことがありました。その相手こそが「間夫」です。

🏮 遊郭の仕組みと間夫の存在

江戸時代の遊郭では、遊女は借金を抱えており、店の許可なしに自由に外出したり、好きな相手と恋愛することは基本的に許されませんでした。しかし、

• 実際には多くの遊女が間夫を持っていた
• 間夫と密かに会うため、さまざまな工夫がされていた
• 遊女が間夫のもとへ逃げる「馴染み倒れ」も少なくなかった
• 間夫は遊女の精神的な支えになることもあった
• 一部の間夫は遊女のために多額の費用を費やすこともあった

という実態がありました。

2. 間夫と普通の客との違い

一般の客と間夫には、大きな違いがありました。

3. 間夫との「抜け会い」

間夫とは、遊女がこっそり遊郭の規則を破って密会することが多く、それを「抜け会い」と呼びました。間夫との関係は遊郭では禁止されていましたが、

• 店の目を盗んで会う
• 手紙をやり取りする
• 間夫の助けで遊郭を抜け出す（馴染み倒れ）
• 間夫が遊郭の関係者に賄賂を渡し、こっそり会う機会を作る
• 遊女が仮病を装い、外出許可を得て間夫と密会する

といった手段が取られていました。

💔「馴染み倒れ」とは？

「馴染み倒れ（なじみだおれ）」とは、遊女が間夫のもとへ逃げることです。吉原のしきたりでは、遊女の借金が完済されるまで自由になれなかったため、

• 間夫が身請けする（遊女の借金を肩代わりする）
• 二人で逃げる
• 遊女が遊郭の関係者の協力を得て、逃亡を企てる
• 間夫が商人や武士と手を組み、遊女を助け出す計画を立てる

といったケースがありました。成功すれば遊女は自由になれますが、失敗すれば厳しく罰せられたり、場合によっては悲惨な結末を迎えることもありました。

4. 間夫は遊女にとっての希望だった

遊郭は華やかな世界でありながら、実際には厳しい管理のもとに置かれた女性たちの世界でした。そんな中で間夫の存在は、

• 心の支え
• 現実逃避の相手
• 将来の希望（身請けしてもらえる可能性）
• 愛情を感じることのできる唯一の存在
• 遊女の人生を変える可能性のある相手

となることが多かったのです。

また、間夫と遊女の関係が深まることで、

• 遊女が商人や武士の妻として迎えられることがあった
• 間夫が遊女のために財産を投じ、解放を手助けすることがあった
• 間夫がいなければ耐えられなかったと証言する遊女もいた

など、歴史の中でも間夫の存在が重要であったことが分かります。

まとめ

「間夫（まぶ）」とは、遊女にとっての本当の恋人や愛人のことを指し、遊郭の厳しいルールの中で密かに愛を育んだ存在でした。遊女にとっては束の間の幸せや、自由への希望を象徴する存在でもありました。

また、間夫の存在があったからこそ、遊郭の世界でも恋愛感情が生まれ、多くのドラマが生まれたとも言えるでしょう。

📺 NHK大河ドラマ「べらぼう」を見る際には、この「間夫」の概念を知っておくと、より深く物語を楽しめることでしょう！