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『落籍(らくせき)』とは?・べらぼう

『落籍(らくせき)』とは・べらぼう

「べらぼう」に出てくる『落籍(らくせき)』の意味

「落籍」の 遊女の世界における意味と背景

NHK大河ドラマ『べらぼう』で登場した「落籍(らくせき)」という言葉。文脈としては、

「瀬川と申す女郎がめでたく落籍と相成りまして」

という台詞の中で出てきます。これは、遊女である瀬川の「落籍」に関するものですが、そもそも「落籍」とはどのような意味を持つのでしょうか?

1. 「落籍」の意味

「べらぼう」にでてくる言葉の「落籍」とは、江戸時代の遊郭において、ある遊女が特定の大金持ちの客によって身請けされ、遊郭から抜けることを指します。「落籍」は、「籍(せき)を落とす」、つまり遊郭の名簿から除外されることを意味します。現代の感覚では「退職」や「独立」といった言葉に近いかもしれませんが、実際には遊女の人生を大きく左右する重大な出来事でした。

また、「落籍」は遊郭の経営者や関係者にとっても重要な意味を持つものであり、単なる遊女や花魁の女性の退職や移動以上の社会的、経済的な影響を伴いました。多くの場合、身請けには莫大な金銭が必要であり、これが遊郭の経済を支える大きな要素ともなっていました。

2. 遊郭における「落籍」の仕組み

遊郭で働く遊女は、基本的に多額の借金を抱えており、その借金を返済することで自由の身となることができました。しかし、その借金は自力で返すのはほぼ不可能であり、通常は以下の方法で「落籍」が行われました。

身請け(みうけ)

  • 遊女に惚れ込んだ客が多額の金銭を支払い、遊女を遊郭から解放する。
  • 身請け後、その女性を妻または妾(めかけ)として迎えるケースが多い。
  • 大名や豪商など財力のある者による身請けは、遊女にとって幸運と見なされることもあった。
  • 遊郭の帳簿上では、特定の遊女が高額で「落籍」されることで、経営側にも利益がもたらされる。

後見人による買い取り

  • 客ではなく、家族や知人が金を支払い、遊女を救い出す。
  • 親兄弟が遊郭に娘を売るケースもあったため、裕福な親族が後に身請けを行うこともあった。
  • 身内による落籍は「身受け」とも呼ばれた。
  • この場合、遊女自身の意思が反映されるケースもあれば、家の都合で決まる場合もあった。

特例としての恩赦

  • 極めて稀なケースとして、大名や幕府の命令により遊女が解放されることもあった。
  • 社会的な影響を考慮して特例措置が取られることもあり、遊女の地位向上の契機となる場合もあった。

3. 「落籍」と遊女の人生

「落籍」された遊女の運命は様々でした。

🟢 幸福なケース

  • 落籍後に正式に結婚し、良い暮らしを送る者もいた。
  • 一部の遊女は、身請けした人物の妻となり、裕福な生活を手に入れることも。
  • 落籍後に地方で商売を始めたり、文化人として名を成す例もあった。
  • 幕府や大名に仕えた例もあり、上流階級に迎えられるケースも存在した。

🔴 不幸なケース

  • 身請けされたものの、妾(めかけ)として扱われるだけで正式な妻になれないこともあった。
  • 身請けした主人に飽きられると、再び遊郭に戻されたり、別の場所へ売られることも。
  • 「落籍」した後も、女性の社会的地位は低く、生活に困窮するケースも。
  • 遊郭のしきたりから完全に解放されるわけではなく、元遊女としての烙印を背負うこともあった。

4. 「落籍」の経済的・社会的側面

江戸時代の遊郭制度は厳格に管理されており、遊女は遊郭の「財産」として扱われていました。そのため、「落籍」には多額の金銭が絡み、身請けされることは一種の「成功」とも考えられました。

また、「落籍」が成立すると、遊郭側もその金銭を運営資金に充てることができたため、経済的な意味でも重要な取引でした。一部の遊郭では、遊女の人気や特別な技能を利用して高額な落籍金を設定し、遊女を「高級ブランド」のように扱うこともありました。

5. 「落籍」と文化・芸術

「落籍」は江戸時代の浮世絵や文学作品にも頻繁に登場します。例えば、井原西鶴の『好色一代男』や、近松門左衛門の『曽根崎心中』などでは、遊女の落籍やその後の運命が描かれています。また、浮世絵の題材としても、身請けの場面が華やかに描かれることがありました。

さらに、落籍をめぐる物語は、現代の小説やドラマでも扱われることがあり、江戸時代の社会構造を理解する重要な手がかりとなっています。

6. まとめ

📌 「落籍」とは、遊女が遊郭を辞めることを意味する言葉。

📌 主に客が遊女を身請けすることで成立するが、その後の運命は様々。

📌 江戸時代の遊郭制度では、「落籍」は遊女にとって一つの「救い」でありながら、同時に新たな人生の始まりでもあった。

📌 「落籍」は文学や浮世絵の中でも重要なテーマとなり、江戸文化を理解する上で欠かせない概念。

📌 経済的・社会的な背景を知ることで、より深く歴史を学ぶことができる。

NHK大河ドラマ『べらぼう』では、このような江戸時代の遊郭の文化がリアルに描かれており、「落籍」という言葉が持つ歴史的背景を理解すると、より深く作品を楽しむことができるでしょう。

 

べらぼう第10回(3月9日放送)用語集:

天下御免の色里

落籍とは

入銀とは

絵に描いた餅とは

名跡(みょうせき)とは

身請けとは

東西東西とは

細見とは

献上本

青楼美人合姿鏡

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