NHK大河ドラマ『べらぼう』の中で登場した「富本(とみもと)」とは、江戸時代に流行した浄瑠璃の一派「富本節(とみもとぶし)」を指します。「べらぼう」の劇中の台詞にもあるように、「富本」は江戸の遊郭・吉原でも演奏される人気の音楽ジャンルでした。義太夫節や常磐津節と並ぶ存在であり、当時の江戸の芸能界で大きな影響を持っていました。
富本節は、江戸時代中期に富本豊前掾(とみもと ぶぜんのじょう)によって創始された浄瑠璃の流派です。富本節は端唄や長唄にも影響を与え、華やかな江戸の芸能文化の一角を担いました。上方(関西)発祥の浄瑠璃とは異なり、江戸で発展を遂げ、江戸の粋を感じさせる音楽として多くの人々に愛されました。
📌 特徴
特に、江戸の文化人や遊郭の花魁たちの間で愛され、その洗練された旋律は風流なものとして評価されていました。
「べらぼうが」舞台の江戸時代には、多くの浄瑠璃の流派がありました。特に有名なのが「義太夫節」「常磐津節」「富本節」などです。
🔹 義太夫節(ぎだゆうぶし)— 荒々しく力強い語りが特徴で、文楽や歌舞伎にも多用される。 🔹 常磐津節(ときわずぶし)— 義太夫節よりも軽快で、歌舞伎舞踊の伴奏として人気。 🔹 富本節(とみもとぶし)— 粋で洗練された曲調が特徴で、遊郭などの座敷で演奏されることが多かった。 🔹 清元節(きよもとぶし)— 富本節と同様に粋な旋律が特徴で、のちに歌舞伎舞踊の伴奏として発展。
富本節は、特に吉原や高級な座敷で好まれた音楽であり、江戸の町人文化の成熟を象徴するものでした。多くの芸者や遊女がこの音楽を習い、その歌声とともに座敷遊びの場を彩りました。
富本節は、18世紀後半から19世紀初頭にかけて人気を博しましたが、次第に常磐津節や清元節に押されて衰退していきました。その理由として、
などが挙げられます。しかし、富本節の洗練された音楽性は長唄や歌舞伎の演奏に影響を与え続けました。また、一部の地域では富本節の名残をとどめる音楽が伝承されており、当時の江戸文化を知る貴重な資料として研究されています。
江戸文化を描いた作品の中では、富本節が取り上げられることがあります。
富本節は、江戸時代に人気を誇った浄瑠璃の一派で、特に吉原などの華やかな世界で愛されました。義太夫節や常磐津節と並ぶ存在でしたが、後にその影響を長唄などに残しながら衰退していきました。『べらぼう』の台詞にあるように、「これからどんどんしのいでいくよ富本は」というのは、当時の江戸の芸能界での期待を反映していると言えるでしょう。
江戸文化に興味がある方は、ぜひ富本節についてさらに調べてみるのも面白いかもしれませんね! 🎵 富本節の魅力を知ることで、当時の江戸の人々がどのような音楽を楽しんでいたのか、その文化の奥深さを感じることができるでしょう。