アメリカでフッ素は禁止されている？

アメリカにおけるフッ素規制：現状と展望

こんにちは、最近の環境保護と公衆衛生に関する議論で注目されているフッ素の話題について、アメリカでの現状と将来の展望を深堀りしてみましょう。

フッ素とは何か？

まず、フッ素とは地球の地殻に自然に存在する元素で、非常に反応性が高いため、純粋な形ではほとんど見られません。フッ素は歯磨き粉や飲料水など日常生活の中で利用されており、齲歯予防に効果があることで知られています。

アメリカにおけるフッ素の禁止について

アメリカでフッ素自体が禁止されているかというと、その答えは「ノー」です。しかし、フッ素化合物の中でも特にPFAS（per- and polyfluoroalkyl substances）と呼ばれる一群の化合物が、健康と環境への影響が懸念されており、これに対する規制が進んでいます。

PFASとは何か？

PFASは、フルオロカーボン原子を少なくとも1つ含む有機化合物のクラスで、1940年代と1950年代に開発されました。これらは、撥水性や耐熱性などの特性から、様々な工業製品や消費財に広く使用されてきました。しかしながら、これらの化合物は非常に分解しにくく、環境に長期間残留することが判明し、その結果、健康への潜在的リスクが懸念されるようになりました。

アメリカにおけるPFAS規制の現状

メイン州が意図的にPFASを添加した製品の販売を禁止する最初の州になりました。これを皮切りに、カリフォルニア、ニューヨーク、ミシガンなど他の州も同様の規制に動いています。これらの州では、消防泡、食品包装、化粧品、繊維製品など、特定の製品におけるPFASの使用を禁止または制限しています。

カリフォルニア州では、コスメティクスにおける意図的なPFASの添加を禁止し、繊維製品における有機フッ素化合物の含有量を制限する法律が制定されました。これらの法律は、消費者の健康を保護し、環境汚染を減らすためのものです。

また、米国環境保護庁（EPA）は、飲料水に含まれる6種類のPFASに対して、法的に強制力のある水準を設定する提案を行っています。これは、EPAのPFAS戦略ロードマップの一環であり、公衆衛生を保護するための重要なステップです。

環境保護庁（EPA）がフッ素に対して取っている規制

米国では、フッ素は禁止されていません。しかし、環境保護庁（EPA）は、公衆用水道中のフッ素の最大許容濃度（MCL）を1リットルあたり4ミリグラム（mg/L）に設定しています。つまり、公衆水道事業者は、水に4mg/Lを超えるフッ素を添加することは許可されていません。

EPAはまた、公衆用水道中のフッ素の最適な濃度を0.7～1.2mg/Lと推奨しています。この濃度は、虫歯を予防しながら、過剰なフッ素による健康への悪影響を回避する最善のバランスであるとされています。

米国の一部都市では、飲料水をフッ素化していないところがあります。これは、通常、天然の水源のフッ素濃度がMCLに達しているか、それを超えているためです。また、フッ素の安全性に対する懸念から、水をフッ素化しない都市もあります。

フッ素の安全性については、議論があります。一部の研究では、フッ素への曝露が、歯の白斑（歯に白っぽい斑点ができる症状）や骨粗鬆症（骨が弱くなる症状）などの健康への悪影響につながるとの報告があります。しかし、他の研究では、フッ素への曝露とこれらの健康影響との関連は見つかっていません。

疾病予防管理センター（CDC）は、6歳未満の子供は、利用可能な場合はフッ素化水を飲むことを推奨しています。これは、フッ素が虫歯を予防するのに役立つためです。

フッ素の安全性について懸念がある成人は、医師に相談することができます。フッ素への曝露を減らす方法としては、フッ素化されていないボトル入り水を使用する、フッ素を含む歯磨き粉を避けるなどがあります。

今後の展望

フッ素自体の禁止ではなく、特定のフッ素化合物に対する規制が進んでいるアメリカの現状を踏まえると、今後も環境や健康に配慮した法規制の動きが進むことが予想されます。製品の安全性や環境保護に関する意識が高まる中で、消費者としても、製品選択においてこれらの情報を意識することが重要です。