最近、SNS(X/旧Twitter)上でこんな書き込みを見かけた方も多いのではないでしょうか。
「日本の外務政務官が知らないうちに中国人に!」
「英利アルフィヤという人は中国人で、中国共産党のスパイでは?」
「石破政権が中国人を政務官に任命したなんて信じられない」
外務大臣政務官が中国人というのは本当なのでしょうか?
このような書き込みは、一見すると衝撃的な内容に見えますが、果たして事実なのでしょうか?
まず結論を申し上げますと、英利アルフィヤ氏は福岡県北九州市生まれの日本人であり、国籍も日本のみです。「中国人が日本政府の外務大臣政務官に就任した」という情報は、**事実無根の誤情報(デマ)**です。
このような誤情報が拡散するなか、英利アルフィヤ氏ご本人が、自らの公式Xアカウントにて次のように投稿しています:
ネット上でも、選挙区内でも、私が中国人であるという誤情報が物凄いスピードで拡散されています。
まず、私のルーツは中国ではなく東トルキスタンです。
また、北九州で生まれ、日本国籍のみ所有しています。
ウイグルのことを理解し心を寄せてくださっている方々には特に(誠にありがとうございます)、中国人と呼ぶことだけはどうか止めていただきたい。
この投稿には非常に重要なポイントが含まれています。
つまり、中国との直接的なつながりは一切ないにもかかわらず、誤解や悪意ある言説が広がっているという状況なのです。
項目 | 内容 |
---|---|
氏名 | 英利 アルフィヤ(Eri Arfiya) |
生年月日 | 1988年6月16日 |
出生地 | 福岡県北九州市 |
国籍 | 日本のみ(重国籍なし) |
民族的ルーツ | ウイグル民族系(出自は東トルキスタン) |
学歴 | 東京大学法学部卒業/米コロンビア大学修士号取得 |
職歴 | 世界銀行職員、国連開発計画(UNDP)などを経て政治家に |
現職 | 衆議院議員(比例・九州ブロック)、外務大臣政務官(2023年任命) |
彼女は国際機関での勤務経験を活かし、特に開発・人権・外交政策に強い関心を持って活動しています。
英利アルフィヤ氏が言及した「東トルキスタン」とは、現在中国で「新疆ウイグル自治区」と呼ばれている地域を、ウイグル民族や一部の国際社会が用いる別称です。
いってみれば、同地域の人達は中国に一方的に支配され弾圧を受けてると言う被害に遭っている人達であり、中国人とは異なる人達です。
したがって、「中国出身」と一括りにすることは、彼女の民族的アイデンティティを否定する行為でもあります。
英利氏をめぐる誤情報には、いくつかの典型的なパターンがあります。
「英利アルフィヤ」という名前は、確かに日本語名としては珍しく、見慣れない方もいるかもしれません。しかし、これはウイグル系の名前であり、「中国人名」ではありません。
現在、ウイグル自治区は中国の一部とされているため、「ウイグル出身=中国人」と誤って認識されがちですが、これは単なる政治的領域の話です。民族的にはまったく異なります。
SNS上では、特定の政治思想に基づいて「帰化人は信用できない」「中韓系の政治家は売国奴」といった偏見に基づく投稿も見られます。英利氏に対しても、そのような根拠のない誹謗中傷が広まっていると考えられます。
たとえ英利氏が外国にルーツを持っていたとしても、日本国籍を有していれば日本人です。そして実際には、彼女は帰化者ではなく出生時からの日本人です。
これは、憲法で保障された平等な権利であり、「血筋」「出自」で人を差別することは決して許されません。
外務大臣政務官が中国人というのは事実ではありません。
国際社会においても、出自や宗教、民族的背景を持つ人々がそれぞれの専門性を活かして公職に就くことは一般的です。日本においても、これからさらに多様なルーツを持つ人々が政治や行政の場に進出していくでしょう。
英利アルフィヤ氏は、その先駆けのひとりであるといえるかもしれません。彼女が今後どのような政策を掲げ、どのように外交の現場で活躍していくのか、その中身こそが問われるべきです。