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ありがた山の寒がらす・意味

ありがた山の寒がらす・意味

「ありがた山の寒がらす」とは?—『べらぼう』で蔦屋重三郎が使う表現の意味を解説

2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』では、江戸時代の名出版人・蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)が主人公として描かれます。その中で彼が使う特徴的な言い回しのひとつに「ありがたやまのかんがらす(でございます)」があります。

「ありがた山の寒がらす」とはどういう意味なのしょうか?

これは一見、意味が分かりにくい言葉ですが、江戸の文化や言葉遊びを知ると、その意図が見えてきます。本記事では、この表現の意味や由来、使われ方について詳しく解説していきます。

「べらぼう」では「ありがた山のとんびがらす」という表現も複数回出てきます。


1.「ありがたやまのかんがらす」とは?

「ありがた山の寒がらす」は、いくつかの要素が組み合わさった江戸時代の言葉遊びのような表現です。

  • 「ありがたやま」:「ありがたい(有り難い)」を駄洒落(だじゃれ)風にした変化形で、感謝や畏敬の念を込めた言い回し。
  • 「かんがらす」:「寒烏(かんがらす)」のこと。山と言えばカラスという発想から単に付け足しをした言葉。

直訳すると「ありがたい山に住む寒烏」といった意味になりますが、実際のニュアンスとしては、「ありがたや!」(感謝・感動を表す)を洒落た言い方にしたものと考えられます。

つまり、「ありがたやまのかんがらす」は**「ありがたいことだ!」「これはすばらしい!」**といった感嘆の表現として使われているのです。

江戸時代には「ありがたく存じます」という言葉がよく使われていましたが、「ありがた山の寒がらす」の意味は今で言うところの「ありがとうございます」をだじゃれにした言い回しと言えます。

大河ドラマ「べらぼう」では「ありがた山の鳶(とんび)がらす」という表現も出てきますが意味は全く同じです。


2. なぜ蔦屋重三郎が使うのか?蔦屋重三郎さん

蔦屋重三郎は、洒落や機知に富んだ江戸の文化人として知られています。彼は、黄表紙や洒落本などの風刺的でユーモラスな出版物を世に送り出し、町人文化を支えた人物です。

そのため、彼のセリフには、粋な江戸言葉や洒落を効かせた表現が頻繁に登場すると考えられます。「ありがた山の寒がらす」も、そのような言葉遊びの一つとして採用された可能性が高いでしょう。

また、当時の江戸庶民は、ユーモアを交えて日常会話を楽しんでいました。商人や職人たちは、ダジャレや掛詞を使って軽妙な会話を交わすことが一般的だったため、蔦屋重三郎のキャラクターにもこうした言葉が反映されているのです。


3. 江戸時代の「言葉遊び」との関係

江戸時代には、単なる言葉以上に「語感の面白さ」や「リズム」が重視されました。特に、町人文化が発展するにつれて、ユーモアを交えた独特な表現が数多く生まれました。

「ありがたやまのかんがらす」もその一例で、江戸庶民が使っていた**「ありがたい」を面白く言い換えた表現**と考えられます。

昭和の時代に、「あたりまえ(だ)」と言う代わりに「あたり前田のクラッカー」と言う「親父ギャグ」のような言葉遊びがありましたが、このような昭和の「親父ギャグ」とも似ていると言えますね。

江戸時代では他にも「春夏冬中」と書いて「商(あきない)い中」と読ませる(秋がない→あきない→商い)看板があったなど、現代で言うところの「親父ギャグ」のような言葉遊びが盛んだったようです。

「ありがたやまのかんがらす」や「ありがた山のとんびがらす」と言った言葉も語感の面白さやリズムを重視した表現であり、聞いた人がハハッと笑えるような言葉遊びから生まれた表現と言えます。


4. どのような場面で使われるのか?

『べらぼう』の中では、蔦屋重三郎が感嘆したときや感謝の気持ちを表すときに「ありがたやまのかんがらす」と発言しているようです。

例えば、

  • 意外な幸運が舞い込んだとき
  • 驚くほどの名作が生まれたとき
  • 人の親切に感激したとき

などの場面で、洒落っ気たっぷりにこの言葉を口にしているのでしょう。

このように、ただ「ありがたい」と言うだけではなく、ユーモアと遊び心を加えて表現するのが、蔦屋重三郎らしい粋な語り口なのです。


5. まとめ

「ありがた山の寒がらす」あるいは「ありがた山の鳶がらす」は、江戸時代の言葉遊びを取り入れた感嘆の表現であり、「ありがたい!」という意味をユーモラスに伝える言葉です。

  • 「ありがたやま」=「ありがたい」のだじゃれによる変形
  • 「かんがらす」=「寒烏(かんがらす)」の響きを活かした洒落言葉。山といえばカラスという発想から来ている。
  • 意味としては「ありがたい!」と同じだが、リズム感とユーモアを強調

蔦屋重三郎がこの表現を使うことで、彼の洒落っ気や江戸町人文化の粋な雰囲気がより際立つ演出になっています。

『べらぼう』を見る際には、ぜひこの言葉の背景を知って、蔦屋重三郎の言葉遣いに注目してみてください。江戸の文化や言葉遊びがより楽しく感じられるはずです!

吉原遊郭に関するトリビア

1. 吉原はもともと別の場所にあった

  • 吉原遊郭は、1617年(元和3年)に江戸幕府公認の遊郭として開設されましたが、当初は現在の日本橋人形町付近にありました。しかし、1657年の明暦の大火で大きな被害を受けたため、現在の台東区千束(浅草付近)に移転しました。これを「新吉原」と呼び、移転前を「元吉原」と呼ぶことがあります。

2.「引手茶屋」は吉原への入り口

  • 吉原には直接入るのではなく、客はまず「引手茶屋(ひきてぢゃや)」と呼ばれる場所に立ち寄り、どの遊女を指名するかを決めました。このシステムにより、客の品定めが行われたり、遊女にとって負担の少ない接客が可能になったとされています。面白いことに現在の吉原にも同じような役割をする「喫茶店」と称する実質の案内所が数多くあります。

4. 花魁道中はパフォーマンス

  • 高級遊女である「花魁(おいらん)」は、豪華な衣装を身にまとい、独特の「外八文字(そとやつもんじ)」という歩き方で客のもとへ向かいました。この「花魁道中」は、まるで一つのショーのように演出され、庶民にとっては憧れの存在でした。今で言うところの人気アイドルのイベントですね。

5. 「禿(かむろ)」は見習いの少女

  • 吉原の遊郭では、年少の少女たちは「禿(かむろ)」と呼ばれ、遊女の身の回りの世話をしながら成長しました。禿は主に6歳から10歳前後の少女で、髪を肩までの短さに揃え、赤い装束を着ることが多かったです。

6. 「振袖新造(ふりそでしんぞう)」は遊女見習い

  • 「振袖新造」とは、禿から成長し、遊女見習いになった若い女性を指します。「新造(しんぞう)」とは遊女見習いの総称で、その中でも振袖を着る年齢の者が「振袖新造」と呼ばれました。振袖新造はまだ正式な遊女ではないため、直接客を取ることありませんでした。

7. 男色向けの遊郭「陰間茶屋」も江戸には存在

  • 吉原は女性の遊郭として有名ですが、実は男色向けに少年が客を相手にする「陰間茶屋」も江戸の市中には存在していました。遊郭では15歳未満の少女に客をつけることはタブーとされ行われていませんでしたが、その一方で男性版の場合は主に10代前半で17歳で引退という年齢層。遊郭の禿と同様にこのような少年達も借金のかたとして人身売買によって連れてこられたのです。

8. 「吉原五十鈴」の意味

  • 遊女たちの年齢は「数え年」で表され、30歳を過ぎると「吉原五十鈴(ごじゅうすず)」と呼ばれました。これは、実際には50歳ではなく30歳前後を指し、年を重ねた遊女への一種の隠語でした。

9. 「遊女は歯を黒く染める」

  • 遊女は結婚していない身でありながら「既婚者風」に見せるために、江戸時代後期には「お歯黒」を施すことがありました。これは身分の高い遊女に多く見られた習慣です。

10. 「強蔵(つよぞう)」という言葉

  • 吉原では、性的に強い男性を「強蔵」と呼ぶことがありました。これは、単に体力があるだけでなく、女性たちを疲弊させるような男性を揶揄する意味でも使われました。

11. 遊女に初めてつける客として40歳越えの男性が好んで選ばれた

  • 吉原では15歳位の年齢に達した時に遊女としてデビューし初めて客をつけられるわけですが、最初の客(あるはしばらくの間)は40から60歳位の落ち着いた感じの馴染みの客をつけるという慣習がありました。デビューしたての15歳の少女に荒っぽい客(特に強蔵)がついたらかわいそうと言うことからの不文律とも言うべき配慮があった訳です。

12. 吉原には1,500人越えの6歳から15歳の少女達がいた

  • 吉原の女郎はみな元々、東北の農村などの貧しい農家から6歳から10歳の頃に人身売買と言う形で売られて吉原に連れてこられた少女達です。女郎の数は最盛期には約3,000人と言われており、その大半が22歳までに病気などで命を落とすとされています。3000と言う数字には禿や振り袖新蔵は含まれていません。吉原の年齢構成をこの点から算出すると1,500人くらいの6歳から15歳の少女がいたことになります。吉原の女子の約3分1が15歳未満という数字になります。

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