べらぼう・意味
「べらぼう」の意味と由来を解説
「べらぼう」という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。この言葉は日常会話でも比較的使われる表現で、特に驚きや強調を表す際によく用いられます。本記事では、「べらぼう」の意味や使い方、そしてその由来について詳しく解説します。
1. 「べらぼう」の意味
「べらぼう」という言葉は、現代では主に以下のような意味で使われます。
- 途方もない: 常識や予想をはるかに超える状態を表します。
- 例:「この時計、べらぼうに高いよ!」(この時計は非常に高価だ)
- ひどい/乱暴: 人や行動について批判的に使うこともあります。
- 例:「あいつはべらぼうなやつだ」(彼は無茶苦茶な人だ)
このように、驚きや非難、感嘆を込めたニュアンスで使われることが多いです。
2. 「べらぼう」の由来
説1: 穀物を潰す「へら棒」から
- 「穀潰し」との関連性
「へら棒」は穀物を潰すために使われる道具です。この道具が転じて、「穀潰し」(穀物を無駄に潰して浪費するだけの役立たず)を指す言葉として使われるようになったと言われています。
- この場合、「べらぼう」は怠惰で役立たずな人や行動を非難する言葉として使われた可能性があります。
- 意味の広がり
時間の経過とともに、「べらぼう」の意味は単なる「穀潰し」から、「程度がひどい」「非常識」「極端」など、広範な意味を持つ言葉へと変化していったと考えられます。
説2: 見世物小屋の芸人「便乱坊」から
- 奇人「便乱坊(べらんぼう)」の存在
寛文年間(1661~1673年)に、見世物小屋で話題となった奇人「便乱坊」という人物がいました。彼は以下のような特徴を持っていたとされています:
- 全身真っ黒な肌
- とがった頭
- 赤く丸い目
- 猿のようなあご
- 人々の反応と「べらぼう」の意味の形成
当時の人々は、この「便乱坊」を興味本位で見物しながらも、その奇妙な外見から侮蔑的な意味を込めて「べらんぼう」と呼んだと言われています。
- 「箆棒(へらぼう)」との結びつき
後に、「便乱坊」という言葉が「べらぼう」として定着し、それに「箆棒(へらぼう)」という当て字が使われるようになりました。この過程で、説1の「穀潰し」の意味とも結びつき、現在の「べらぼう」という言葉が形成された可能性があります。
どちらの説も「べらぼう」という言葉が江戸時代の庶民文化や日常生活、娯楽に根ざして広まったことを示しています。
特に、見世物小屋の影響を受けた説は、当時の社会背景や大衆文化を理解する上で興味深いものです。一方、「へら棒」説は言葉がどのように意味を拡大し、一般化していくかを示しています。
現代では、これらの語源説が複合的に影響している可能性が高いと考えられます
3. 現代での使い方
「べらぼう」は日常会話でカジュアルに使われる表現ですが、そのままでは少し古風に聞こえることもあります。それでも、強調したい場面で効果的に使える言葉です。
- ポジティブな場面
「べらぼうに美味しい!」(非常に美味しい)
- ネガティブな場面
「べらぼうに高い値段だ」(非常に高価すぎる)
こうした使い方から、少しユーモラスな印象を与えることもあります。
4. 「べらぼう」と似た表現
「べらぼう」と同様のニュアンスを持つ言葉として、以下のような表現があります。
- 「無茶苦茶(むちゃくちゃ)」
- 「とんでもない」
- 「非常識(ひじょうしき)」
これらの言葉と使い分けることで、表現の幅が広がります。
まとめ
「べらぼう」という言葉は、日常生活で驚きや強調を表現するための便利な言葉です。その由来には歴史的な背景があり、江戸時代の文化や言葉の変遷を垣間見ることができます。ちょっとした会話に取り入れることで、表現が豊かになるので、ぜひ使ってみてください。
江戸時代の俗語で、現代でも使われている言葉は意外と多く、私たちの日常会話にも溶け込んでいます。そのいくつかを紹介し、その意味や使用例について解説します。
現代でも使われる「べらぼう」以外江戸時代の俗語
1. 「おかみ」
- 意味: 「おかみ」は元々、江戸時代に町や村を治める幕府や役人を指していました。現代では政府や行政を指す言葉として使われています。
- 例: 「この問題はおかみ次第だ」(この問題は政府の判断にかかっている)。
2. 「ちゃら」
- 意味: 江戸時代の「ちゃら」は、「無効」や「帳消し」を意味する言葉です。現代でも「チャラにする」という表現で、借金や約束を取り消す意味で使われます。
- 例: 「今回のことはチャラにしてくれ」(今回のことは帳消しにしてください)。
3. 「いちゃもん」
- 意味: 江戸時代に「因縁をつけること」や「文句を言うこと」を指していました。現代でも「理不尽な文句やクレーム」という意味で使われます。
- 例: 「あの客はいちゃもんばかりつけてくる」(あの客は文句ばかり言ってくる)。
4. 「どんぶり勘定」
- 意味: 江戸時代には、どんぶりにざっくり食べ物を盛るイメージから、細かい計算をせずにざっくり処理することを意味していました。現代でも家計や会計に対するいい加減な計算を指します。
- 例: 「会社の経費管理がどんぶり勘定だ」(会社の経費管理が大雑把だ)。
5. 「べらんめえ」
- 意味: 江戸っ子特有の口調で、相手に対して威勢よく話す際の表現。現代では「べらんめえ調」という言葉で、江戸っ子らしい粗野で豪快な話し方を指します。
- 例: 「べらんめえ!そんなことは気にするな!」(そんなことは気にするなよ!)。
6. 「野暮(やぼ)」
- 意味: 江戸時代には「粋でないこと」や「洗練されていないこと」を指しました。現代でも、「気が利かない」や「空気を読めない」という意味で使われます。
- 例: 「そんな発言は野暮だよ」(そんな発言は空気が読めていない)。
7. 「こけら落とし」
- 意味: 江戸時代、建物の新築時に屋根を覆っていた木片(こけら)を落とすことが語源。現代では、新築や改築後の劇場や施設の最初の公演やイベントを指します。
- 例: 「この劇場のこけら落としは来月だ」(この劇場の最初の公演は来月だ)。
8. 「おだてる」
- 意味: 江戸時代から「相手を褒めたり持ち上げたりしてその気にさせる」という意味で使われていました。現代でも日常会話でよく使われます。
- 例: 「そんなにおだてても何も出ないよ」(そんなに褒めても期待しないでね)。
9. 「しらを切る」
- 意味: 江戸時代には「知らないふりをする」という意味で使われ、現代でも同じニュアンスで使われています。
- 例: 「彼は最後までしらを切り通した」(彼は最後まで知らないふりをした)。
10. 「くたびれる」
- 意味: 江戸時代には「疲れる」や「ボロボロになる」という意味で使われていました。現代でも同じ意味で使われます。
- 例: 「今日は仕事でくたびれた」(今日は仕事で疲れた)。
まとめ
江戸時代の俗語は、現代に至るまで形を変えながらも私たちの生活に根付いています。それぞれの言葉に込められた当時の文化や価値観を知ることで、日常会話がより面白く感じられるかもしれません。