デフ・ヴォイスとは一体どういう意味なのでしょうか?
ある程度英語に詳しい方なら「デフってそもそも差別用語じゃないの?」と思うかもしれません。
デフヴォイスとは、英語の「deaf voice」の訳語で、日本語では「ろう者の声」という意味です。具体的には、ろう者たちが手話や筆談、音声認識などの方法で発する声を指します。
ろう者は、音声言語を理解したり発したりすることが困難なため、音声言語を主流とする社会では、その声が十分に聞こえておらず、社会参加や権利保障が十分に実現されていないという課題があります。
デフヴォイスにはもう一つの意味があります。
デフヴォイスは、こうした課題を解決するために、ろう者たちが自らの声を上げ、社会に伝えようとする活動のことを意味する事があります。デフヴォイスの活動は、ろう者たちの権利保障や社会参加の促進に大きな役割を果たしています。
デフヴォイスの活動の例
デフヴォイスの活動は、さまざまな形で行われています。具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
デフヴォイスの活動は、ろう者自身が主体となって行われています。ろう者たちが自らの声を上げ、社会に伝えることで、ろう者たちの権利や社会参加がより一層実現されていくことが期待されています。
デフヴォイスをテーマにした小説やドラマは、日本でも近年増えてきています。
小説では、丸山正樹さんの「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」が有名です。この作品は、ろう者の両親を持つコーダ(Children of Deaf Adults)の青年が、手話通訳士として成長していく物語です。ろう者の権利や社会参加に関する問題を、手話通訳士の視点から描いた作品として、高い評価を受けています。
ドラマでは、NHKの「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」が、デフヴォイスをテーマにした作品として初めて放送されました。このドラマは、小説「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」を原作とし、草彅剛さんが主人公を演じました。ろう者の権利や社会参加に関する問題を、ドラマならではの視点から描いた作品として、多くの視聴者に感動を与えました。
その他にも、以下のような作品があります。
これらの作品は、ろう者の権利や社会参加に関する問題を、さまざまな視点から描いています。ろう者の声を社会に届け、ろう者に対する理解や共感を深めるための作品として、今後も注目を集めていくと考えられます。
英語の「Deaf」と「deaf」は、どちらも「ろう者」という意味ですが、表記の違いによって意味合いが異なります。
「Deaf」は、ろう文化を有する社会集団の一員として捉えた表記法です。この表記法では、ろう者は音声言語とは異なる手話や文化を有する集団であると捉えられています。
一方、「deaf」は、聴覚障害者という医学的な用語で捉えた表記法です。この表記法では、ろう者は音声言語を理解したり発したりすることが困難な障害者であると捉えられています。
近年では、ろう者の権利や文化を尊重する意識が高まっていることや、ろう者によるデフヴォイスの活動が活発化していることなどにより、「Deaf」の表記法が主流になりつつあります。
「voice」は、「声」という意味です。デフヴォイスにおいては、「ろう者の声」という意味で使われ、ろう者たちが自らの声を上げ、社会に伝えようとする活動を指します。
「deaf」という言葉は、かつては差別用語として使われていました。しかし、近年では、ろう者によるデフヴォイスの活動や、ろう者に対する理解や共感の広まりなどにより、差別用語としての使用は減少しています。
とはいえ、まだ完全に差別用語として使われなくなったわけではありません。そのため、ろう者に対しては「deaf」という言葉を使わないように注意する必要があります。
具体的には、以下の点に注意するとよいでしょう。
ろう者に対する理解や共感を深めるためにも、言葉遣いには十分に注意しましょう。
以下に、英語の「Deaf」と「deaf」の具体的な使用例をいくつかご紹介します。
英語の「deaf」の婉曲表現としては、以下のようなものが挙げられます。
これらの表現は、単に「聴覚障害のある」という意味を強調するのではなく、ろう者や難聴者の人権や尊厳を尊重する意図を持って使用されます。
また、ろう者や難聴者自身が、自分のことを「Deaf」と呼ぶこともあります。これは、ろう文化を有する社会集団の一員として自己認識していることを示すためです。
具体的な使用例としては、以下のようなものが挙げられます。
なお、日本では「ろう者」という言葉が一般的に使用されています。英語で「Deaf」という表現を使う場合は、ろう者や難聴者本人から「Deaf」と呼んでほしいと言われた場合以外は、基本的に「hearing-impaired」や「hard of hearing」などの婉曲表現を使うようにしましょう。