「女郎(じょろう)」という言葉は、現代では主に遊女を指す言葉として知られています。しかし、その語源を辿ると、本来の意味や用法は現在とは異なっていたことがわかります。この記事では、「女郎」という言葉の意味の変遷や歴史的背景について詳しく解説します。
「女郎」という言葉を理解するためには、まず「郎」という漢字の意味を考える必要があります。
「郎」はもともと「若い男性」や「青年」を指す言葉でした。例えば、「太郎」「次郎」などの名前にも使われているように、「若者」「元気な男子」といったニュアンスを持っています。
この「郎」に「女」がつくことで、「若い女性」を指す言葉として「女郎」が生まれたと考えられます。つまり、本来の「女郎」は「若い女性(girl)」という意味だったと言えるでしょう。
時代が下るにつれ、「女郎」は特定の職業を指す言葉へと変化していきました。特に江戸時代には、遊郭で働く女性を「女郎」と呼ぶようになり、この意味が定着しました。
主な変遷:
このように、「女郎」は時代によって意味が大きく変化した言葉であることがわかります。
江戸時代の遊郭では、「遊女」と一口に言っても、身分や格付けによって様々な呼び名がありました。その中で「女郎」は、遊女の中でも特に身分が低い者を指すことが多かったと言われています。
つまり、「遊女」という大きなカテゴリの中に、「女郎」という身分の低い遊女が含まれる形だったのです。
現在では、「女郎」という言葉は日常会話ではほとんど使われません。しかし、時代小説や時代劇などでは、当時の遊郭の雰囲気を伝えるために登場することがあります。また、文学作品や歌の中で、哀愁を帯びた表現として使われることもあります。
一方で、「女郎蜘蛛(じょろうぐも)」のように、蜘蛛の名前としてもこの言葉が使われており、こちらは現在でも一般的に知られています。
「女郎」という言葉は、もともとは「若い女性」を意味していたものの、時代が経つにつれて遊女を指す言葉へと変化していきました。特に江戸時代には、遊郭の中で下級の遊女を指す言葉として定着し、現在では主にその意味で知られています。
言葉は時代とともに変化するものですが、「女郎」のように、その変遷を辿ることで歴史や文化の一端を垣間見ることができます。