メメントモリの意味

メメント・モリとは -その意味と起源

「メメント・モリ」(Memento Mori)とはどういう意味なのでしょうか？

「メメント・モリ」というフレーズは、ラテン語で「死を忘れるな」という意味です。この概念は、人間の命が一時的であり、いずれは終わりを迎えるという事実を受け入れ、その上でどのように生きるべきかを考えるための哲学的な思考です。古代ローマの時代には、軍事的勝利を収めた将軍がローマ市内を凱旋行進する際、彼の耳元で使用人が「メメント・モリ」と囁いたという話が伝えられています。これは、将軍がその栄光に酔わず、常に死という運命を意識して謙虚でいるようにという教えでした。

芸術と文化におけるメメント・モリ

中世ヨーロッパでは、メメント・モリは芸術作品に頻繁に登場します。絵画、彫刻、文学などで、骸骨、時計、枯れた花、蝋燭などのモチーフが用いられ、人間の命の儚さと死の不可避性を表現していました。これらの作品は、人々に日々の生活の中で死を意識し、倫理的で意味のある生き方をするよう促す目的がありました。

ルネサンス期には、このテーマはさらに発展し、人生の楽しみと死への準備のバランスを考える哲学的な探求が行われました。例えば、シェイクスピアの戯曲では、人間の存在の虚しさと、高潔さを保ちながら生きることの重要性が探究されています。

現代におけるメメント・モリ

現代社会では、「メメント・モリ」は、個人の内省や人生の目的について考えるきっかけとしてしばしば引用されます。特に、忙しい日常生活に追われる中で、私たちはしばしば大切なことを見失いがちです。この古代の教えは、私たちに一時停止し、人生の本質に目を向ける機会を与えてくれます。

心理学や自己啓発の分野では、メメント・モリの考え方が、不安や恐れを乗り越え、より意味のある生活を送るためのツールとして用いられています。死を意識することで、私たちは現在の瞬間の価値をより深く理解し、人生の目標に対してより集中し、意味のある方法で行動することができるようになります。

Memento とMoriを語源とする英語

「メメント・モリ」のフレーズに含まれる各単語は、英語における多くの単語の語源と深く関連しています。

1. メメント (Memento): この単語は、ラテン語の「meminisse」（思い出す、覚えている）から来ており、英語の「remember」（覚えている、思い出す）と同じ意味合いを持ちます。英語で「memento」という言葉もあり、これは「記念品」や「思い出の品」という意味で、過去の出来事を思い出させる物を指します。
2. モリ (Mori): これはラテン語で「死ぬ」を意味する動詞「morior」の命令形です。英語の「mortal」（死すべき、人間の）、「immortal」（不死の）、そして「mortgage」（抵当）や「mortality」（死亡率、死ぬ運命）などの語源になっています。これらの単語はすべて、人間の生の一時性や死という概念に関連しています。フランス語で｢死んでいる｣（英語のdead)はmortです。

「メメント・モリ」のフレーズは、これらの言葉の根底にある意味を反映しており、人間の命が一時的であり、死という避けられない運命に直面することを思い出させる強力なメッセージを持っています。この古代からの言葉は、時間の経過とともにさまざまな形で文化や言語に影響を与え続けています。

Memento Mori はプーチンや金正恩などの独裁者に聞かせたい言葉

独裁者は、権力や支配欲に溺れ、自分の死を意識せずに生きる傾向があります。そのため、メメントモリを聞いて、自分の死を意識し、権力に依存しない生き方をするように促したいものです。

具体的には、次のような言葉を独裁者に聞かせたいものではないでしょうか。

• 「あなたの権力は永遠ではない。いずれあなたも死ぬことを忘れるな。」
• 「あなたは一人ではない。あなたを支えている人々がいることを忘れるな。」
• 「権力は責任を伴う。その責任を果たすために、今を大切に生きよ。」

このような言葉が、独裁者の心を少しでも揺さぶり、より良い世界を築くための一助となればよいのですが。

また、メメントモリは、独裁者だけでなく、私たち一人ひとりが心に留めておくべき言葉だと思います。自分の死を意識することで、今を大切に生きることの大切さを改めて実感し、より良い人生を送ることができるのではないでしょうか。精神的にあるいは物質的にどれだけ豊かな人生を送ろうと、人は皆最終的には全てを失い死という着地点に着き、全てはゼロになるのです。

結論

メメント・モリは、単なる暗い思考や悲観主義ではなく、私たちの生活をより豊かにし、個人として成長するための哲学的なツールです。死を意識することによって、私たちは人生の限りある時間を最大限に活用し、日々をより意味のあるものにすることができます。この古代から続く教えは、今日の私たちにとっても、人生をより深く、より充実させるための重要なメッセージを持っています。