トヨタ自動車が静岡県裾野市に建設中の未来都市「ウーブン・シティ(Woven City)」。このプロジェクト名に使われている「ウーブン(Woven)」には、どのような意味が込められているのでしょうか?本記事では、「ウーブン」の語源や、この言葉がウーブン・シティのコンセプトとどのように結びついているのかを解説します。
「Woven」は、英語の動詞「weave(織る)」の過去分詞形です。ですので「ウーブン」の意味は「織られた」または「編まれた」です。
この言葉は、布やカーペットのように異なる素材を組み合わせて一つのものを作り上げるイメージを持ちますが、比喩的に使われる場合は、「異なる要素が絡み合い、一体化する」という意味を持つこともあります。
例えば、
また、歴史的に見ても「weave」という言葉は文化や社会を繋ぐ概念として使われており、多様性のあるコミュニティが一体となって機能することを象徴する表現でもあります。
ウーブン・シティの「ウーブン」には、以下のような複数の意味が込められています。
ウーブン・シティは、モビリティ(移動手段)、AI、ロボティクス、スマートホーム技術など、さまざまな最新技術が統合される未来都市です。これらの技術が「織り交ぜられる」ことで、新しい生活スタイルや都市の在り方が生まれるというコンセプトが込められています。
ウーブン・シティは単なるテクノロジーの実証実験場ではなく、人々が快適に暮らせる都市を目指しています。そのため、AIや自動運転技術だけでなく、環境に優しい設計や人間中心のデザインが重視されています。つまり、「人と技術が調和して織りなす未来の都市」というビジョンを表しているのです。
ウーブン・シティでは、道路の構造も特徴的です。
これらの異なる交通ルートが織り込まれるように設計されており、都市全体が「織りなされたネットワーク」として機能します。
さらに、地下には物流やエネルギー管理システムが埋め込まれており、インフラそのものが効率的に統合されることで、都市機能がシームレスに連携する仕組みとなっています。
トヨタは、ウーブン・シティを「カーボンニュートラル(CO₂排出ゼロ)」のモデル都市にすることを目指しています。再生可能エネルギーや水素エネルギーの活用、自然と都市の調和など、さまざまな要素が絡み合うことで、持続可能な未来都市を築いていくという意味も込められています。
また、都市の建築素材にも環境負荷の低い木材や再生可能資源が使用される予定であり、これも「ウーブン(織り込まれた)」という概念を象徴しています。
ウーブン・シティでは、住民同士のコミュニケーションや交流を促進する仕組みも重視されています。自動運転技術やスマートホーム機能が発展しても、人々がつながりを持ち、温かみのある社会を築くことが重要とされています。
このため、街のデザインには公園や共有スペースが多く配置され、住民が自然に交流できる環境が作られています。これにより、技術と人間性が「織り交ぜられる」都市が実現されるのです。
「ウーブン・シティ(Woven City)」の「ウーブン」には、「異なる要素を織り交ぜ、一体化させる」という意味があり、最新技術、人々の生活、環境への配慮が一つに融合した都市というコンセプトが込められています。
この都市は、単なる未来都市の実験場ではなく、人とテクノロジー、持続可能な社会のバランスを実現する場として設計されています。また、住民同士のつながりや、都市の持続可能性に重点を置いた設計が特徴であり、未来の都市生活のあり方を示唆するモデルとなっています。
今後、ウーブン・シティの進展がどのような形で現れるのか、引き続き注目していきましょう!