2024年5月、カナダの鉄道業界は大きな労働紛争の危機に直面しています。カナダの二大鉄道会社、カナディアン・ナショナル・レールウェイ(CN)とカナディアン・パシフィック・カンザスシティ(CPKC)の労働者が、労働条件を巡ってストライキの準備を進めていました。しかし、政府の介入により、このストライキは一時的に回避されました。
労働者を代表するカナダ鉄道会議(Teamsters Canada Rail Conference、TCRC)は、労働条件の改善を求めて交渉を行ってきました。主な争点は、労働時間と休憩時間の確保に関するものでした。特に、シフト間の休息期間が十分に確保されていないことが問題視されています。これに対し、鉄道会社側は現行の規制に沿った提案を行っていると主張しています。
当初、カナダの鉄道ストライキは2024年5月22日に開始される予定でした。しかし、カナダ政府はカナダ労働関係委員会(CIRB)を通じて介入し、ストライキの開始を遅らせる決定を下しました。これにより、労働者のストライキ権が一時的に凍結され、委員会が安全性や公共の健康に対する即時かつ深刻な危険を評価する時間が与えられました。
労使間の交渉は依然として続いており、一部では進展が見られるものの、まだ最終合意には至っていません。CNとCPKCの労働者は、政府の介入が労働者の権利を侵害していると感じており、最終的な判断に対して異議を唱える意向も示しています 。
もしカナダの鉄道でストライキが実施されれば、カナダ全土の供給チェーンに大きな影響を与えることが予想されます。鉄道は、カナダ国内の貨物輸送の約70%を担っており、輸出品の約50%も鉄道によって運ばれています。このため、ストライキが発生すれば、農産物から消費財に至るまで、幅広い分野で物流が滞る可能性があります 。
今回のカナダにおける鉄道ストライキは一時的に回避されましたが、労働条件の改善を求める声は依然として強く、今後の交渉の行方が注目されます。カナダの鉄道労働者と鉄道会社が共に合意に達し、安定した労働環境が確保されることが期待されます。
カナダの鉄道ストライキに関する最新情報については、引き続き注視していきます。
カナダでは最近、いくつかの重要なストライキが発生しています。これらのストライキは労働者の権利や労働条件の改善を求めるものであり、広範な影響を及ぼしています。
2023年4月、パブリックサービスアライアンスオブカナダ(PSAC)に所属する15万5千人以上の連邦公務員がストライキを開始しました。主な要求は賃上げ、労働条件の改善、そして疲労管理の強化でした。このストライキは、カナダ全土で税務、パスポート発行などの重要な政府サービスに大きな影響を与えました 。
2024年7月、ブリティッシュコロンビアの港湾労働者7400人が13日間にわたりストライキを実施しました。このストライキは、カナダの主要なターミナルでの貨物輸送を停止させ、数十億ドル相当の貿易に影響を与えました。最終的に暫定合意が成立し、労働者は仕事に復帰しました 。
2024年7月29日から、グレータートロント地域のメトロ店舗の従業員3700人がストライキを行いました。このストライキは、賃上げや労働条件の改善を求めるもので、労働者たちは一度合意に達した労働協定を拒否しました。
2024年初頭、サスカチュワン州の教師たちが二度にわたりストライキを実施しました。彼らの主な要求は、クラスサイズの縮小と労働条件の改善でした。州政府との間で激しい交渉が続いています。
これらのストライキは、労働者たちがインフレーションや賃金の停滞に対して強い不満を抱えていることを反映しています。労働者たちは、企業の高利益や生活費の上昇に対して、公正な賃金と労働条件を求めているのです。これからもカナダでの労働争議は続くと予想され、経済状況や労働市場の変動に影響を与えるでしょう 。