日本国内で最近注目されている「プラスチック米」。これは、かつて中国で問題視されたプラスチック製の偽米とは異なり、古米を新米のように見せかけるために使用される精米改良剤によって作り出されるものを指します。
従来「プラスチック米」と聞くと、プラスチック樹脂を米粒状に成型した偽物の米を思い浮かべるかもしれません。実際、中国などで流通が疑われたケースでは、ビニールのような原料から米に似せた粒が作られていたと報道されたこともありました。
しかし現在日本で問題視されている「プラスチック米」とは、物理的なプラスチック素材ではなく、古米に人工的な光沢や甘みを加えることで新米に見せかけた米を指しています。
このような呼称が広まった背景には、精米改良剤に含まれるプロピレングリコール(別名「液体プラスチック」)の存在があります。この成分が使われることにより、米粒に異様なツヤやべたつきが生じ、本来の自然な米とは異なる違和感を覚えることがあり、消費者の間で「プラスチックみたい」と表現されるようになったのです。
見た目はきれいでも、自然な新米と比べると香りや食感に微妙な違いがあり、食べ慣れている人であれば気づくこともあるでしょう。次の章では、こうした加工がどのように行われるのか、成分の特徴とともに掘り下げていきます。
精米改良剤とは、保存期間が長くなり水分が抜けた古米の品質を人工的に改善し、あたかも新米のようなツヤと甘みを持たせるために使用される添加物の総称です。主な成分には以下のようなものがあります:
これらを使うことで、見た目だけでなく、香りや食感までも新米に近づけることができ、主に外食産業やコンビニ弁当、量販店向けの商品などで利用されている可能性があると指摘されています。
精米改良剤は日本の食品衛生法上、「加工助剤」として分類されることが多く、一定の条件下では最終製品への表示義務が免除されます。これは、製造過程で使用されても最終的に食品中にほとんど残留しないとされるためです。
しかし実際には、全く残留しないわけではありません。消費者は精米改良剤が使われているかどうかを購入時に判別できないため、知らないうちに摂取しているリスクがあります。
また、プロピレングリコールは適量であれば安全とされていますが、大量摂取時には胃腸障害、アレルギー反応、代謝異常などの健康リスクが報告されています。特に小さな子どもや高齢者、体調が優れない人にとっては、注意が必要な成分でもあります。
こうした背景から、食に対する意識が高まっている近年では、できる限り自然な食品を選びたいと考える人が増えています。
精米改良剤入りの米を避け、より自然で安心できるお米を選ぶために、以下のポイントを押さえておきましょう。
Q:どういう目的で精米改良剤は使われるのですか? 見た目をよくするためですか?
A: 精米改良剤は、主に古米の品質を改善するために使われます。時間が経過して乾燥し、ツヤや粘り、甘みが失われた古米に、見た目のツヤを与えたり、食感を良くしたり、割れにくくする目的で使用されます。特に、消費者に新米のように見せたい場合や、外食・加工食品向けに見た目と食感を整えるために利用されるケースが多いです。つまり、単なる見た目だけでなく、食べたときの印象まで新米に近づけることが目的です。