かつては芸術と建築、自然の魅力で世界中の観光客を魅了したロシア。しかし2022年に始まったウクライナ侵攻とそれに伴う西側諸国との対立により、状況は一変しました。2025年現在、ロシアを訪れるという行動は単なる旅行ではなく、政治的意味を含む行為として受け止められることもあり、非常に慎重な判断が求められます。
この記事では、「ロシア旅行の現在」をテーマに、渡航の可否、治安、現地の雰囲気、旅行者の体験談、そして倫理的視点までを詳しく解説します。
2025年現在、日本の外務省はロシア全土に対して**「レベル3:渡航中止勧告」**を発出しています。これは「渡航はやめてください」という強い警告であり、事実上の渡航制限と捉えられます。
ただし、完全に渡航が禁止されているわけではありません。仕事や留学、家族事情などにより、どうしても渡航が必要な人々は、厳格な準備をした上でロシアに渡航しています。
ロシアに入国するにはビザの取得が必須です。以前は比較的スムーズに取得できた観光ビザも、現在はロシア政府の審査が厳しくなっており、申請から取得まで1か月以上かかるケースもあります。
ビザ申請には以下のものが必要です:
ロシアとの直行便は大幅に減便、もしくは廃止されています。特に欧米諸国の航空会社はロシア上空の飛行を禁止しており、日本からロシアへ向かうには遠回りのルートを取る必要があります。
現在多く利用されている経由地は以下の通り:
これにより、所要時間は最短でも15〜20時間、航空券の価格も大幅に高騰しています。
モスクワやサンクトペテルブルクといった都市部では、表面的には平穏が保たれており、観光スポットも通常通り営業しています。しかし、政治的緊張が続く中、外国人がトラブルに巻き込まれるリスクは確実に上がっています。
特に注意すべき点:
現地ではGoogle、Instagram、Facebookなど一部のサービスが制限・遮断されており、LINEやGoogle Mapが使えないケースも報告されています。VPNを用意していないと、渡航中の情報収集が極めて困難になります。
国際的な金融制裁により、VISA、MasterCardなどの国際ブランドのカードはロシア国内で使用できません。そのため、現地では以下の対策が必要になります:
制裁や輸入制限の影響により、海外製品や一部の食品・日用品の価格が上昇しています。外食やホテルは以前の1.5〜2倍近い価格となっていることも多く、予算には余裕を持たせる必要があります。
YouTubeやX(旧Twitter)では、一部の旅行系インフルエンサーがロシア旅行の様子を公開しています。人気のあるコンテンツには次のような傾向があります:
ただし、政治的な発言や批判を避けた内容に限定されており、視聴者との間で「なぜロシアに行くのか」という議論が起きることも少なくありません。
「戦争中の国に観光目的で行くのは適切なのか?」という問いは避けられません。以下のような意見がSNS上でも交錯しています:
このように、ロシア旅行は純粋な娯楽ではなく、価値観や立場を問われる体験となりつつあります。
2025年現在、ロシア旅行は技術的には不可能ではありません。しかし、
など、多くの懸念材料があります。
ロシアという国は、文学、建築、音楽、美術、自然など魅力が尽きない文化大国です。しかし2025年現在、その土地を訪れることは冒険であり、覚悟が求められる行為です。自らの目的と責任を見極めたうえで、慎重に検討しましょう。