オーストラリアでSNS禁止・なぜ

オーストラリアで１６歳未満の子供のSNS利用を禁止にした理由

2024年11月、オーストラリア議会は16歳未満の子どもによるソーシャルメディア（SNS）の利用を禁止する法案を可決しました。この法律は、TikTok、Facebook、Instagram、X（旧Twitter）、Snapchatなどのプラットフォームを対象としており、YouTubeは教育関連のサービスとして除外されています。

なぜオーストラリアはこのような措置を取ったのでしょうか？

子どもの安全とメンタルヘルスの保護

近年、SNS上でのいじめや有害コンテンツへの接触が原因で、子どもたちのメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼすケースが増加しています。オーストラリアのアルバニージー首相は、SNS上でのいじめなどが原因で子どもを失った親たちと会った経験から、この問題を放置できないと感じたと述べています。

世論の支持

オーストラリア国内で行われた世論調査では、約77％の国民がこの法案に賛成していると報じられています。多くの保護者や市民が、子どもたちをオンライン上の危険から守る必要性を感じていることがうかがえます。

他国の動向

オーストラリア以外の国々でも、子どものSNS利用に関する規制が進んでいます。例えば、アメリカのフロリダ州では14歳未満のSNS利用を禁止する州法が成立しています。また、フランスではプラットフォームに対し、保護者の同意がなければ15歳未満の子どもの利用を制限するよう義務付ける法律が制定されています。

日本の状況

日本でも、SNSを通じた若者のトラブルが報告されています。例えば、2024年11月には、SNSでの闇バイトの募集を通じて中学生が犯罪に巻き込まれる事件が発生しました。しかし、日本ではSNS利用に関する年齢制限の法的規制はまだ整備されていません。

法律の具体的内容

新たな法律では、プラットフォーム運営者に対し、16歳未満の子どもがアカウントを作成できないようにする措置を12カ月以内に講じることが求められています。違反した場合、最大4950万オーストラリアドルの罰金が科されます。なお、子どもや保護者に対する罰則は設けられていません。

年齢確認の課題

この法律の施行にあたり、ユーザーの年齢確認方法が課題となっています。現在検討されている方法として、動画セルフィーを生体認証で分析する「年齢推定」や、第三者機関を通じた「年齢確認」などがあります。しかし、これらの方法にはプライバシーの懸念や技術的な課題も指摘されています。

まとめ

オーストラリアの16歳未満のSNS利用禁止法は、子どもたちの安全と健全な成長を守るための措置として注目されています。しかし、実際の効果や年齢確認の方法、プライバシーの保護など、解決すべき課題も多く存在します。今後の施行状況や他国での動向にも注目が集まっています。

Ｑ&A

Q: オーストラリアでSNSを禁止する法律が施行されたと聞きましたが、どういう内容ですか？

A: 2024年11月にオーストラリアで新しい法律が施行されました。この法律では、16歳未満の子どもがTikTok、Instagram、Facebook、Snapchatなどの主要なSNSを利用することを禁止しています。プラットフォーム側に対し、ユーザーの年齢確認を徹底することが義務付けられています。

Q: なぜこのような法律が必要だと考えられたのでしょうか？

A: 主な理由は2つあります。

1. 子どものメンタルヘルス保護
   近年、SNSの利用が子どもの精神的健康に悪影響を及ぼしているという報告が増えています。SNS上のいじめや有害コンテンツに触れることで、不安や抑うつを感じる子どもが多いのです。オーストラリアでは、SNSを通じたいじめが原因で自殺するケースも報告されており、政府としてはこの問題を見過ごすことができなかったのです。
2. 保護者の懸念と世論の支持
   世論調査によれば、この法律には77％の国民が賛成しています。多くの保護者がSNSが子どもたちに及ぼすリスクを認識しており、政府が行動を起こすべきだと考えています。

Q: この法律の具体的な内容を教えてください。

A: この法律の主な内容は以下の通りです。

1. 年齢確認の義務化
   プラットフォーム運営者は、16歳未満のユーザーがアカウントを作成しないようにするため、年齢確認の仕組みを12か月以内に導入する必要があります。
2. 罰則の導入
   違反した場合、プラットフォーム運営者には最大4950万オーストラリアドル（約42億円）の罰金が科される可能性があります。
3. ユーザーや保護者への影響
   子どもや保護者に対する罰則は設けられておらず、あくまでプラットフォーム側に責任を持たせる仕組みです。

Q: 他国でも同じような法律があるのですか？

A: はい、オーストラリア以外でも似たような動きがあります。

• アメリカ（フロリダ州）
  14歳未満のSNS利用を禁止する法律が施行されています。
• フランス
  15歳未満の子どもがSNSを利用する場合、保護者の同意が必要となる法律が制定されています。

これらの動きは、若者を守るための国際的なトレンドの一環です。

Q: 年齢確認はどうやって行うのですか？

A: 現時点で検討されている方法は以下の通りです。

1. 生体認証による年齢推定
   動画セルフィーをAIで分析し、年齢を推定する技術。
2. 第三者機関による年齢確認
   公的な身分証明書を提出する方法。ただし、プライバシーの懸念があります。

これらの方法には技術的・倫理的な課題があり、実現には時間がかかる可能性があります。

Q: 日本ではどうですか？同じような規制はあるのでしょうか？

A: 現時点で日本には同様の法律はありません。しかし、SNSを通じた若者のトラブルは増加しています。今年も中学生がSNSを通じて「闇バイト」に巻き込まれる事件が発生しており、規制の必要性が指摘されています。ただし、日本ではSNSの年齢制限は利用者自身の判断に任されている部分が大きいです。

Q: この法律にはどんな課題がありますか？

A: 課題としては以下の点が挙げられます。

1. 実効性の問題
   年齢確認をすり抜ける方法が出てくる可能性があります。
2. プライバシーの懸念
   生体認証や個人情報の管理リスクが指摘されています。
3. 教育の必要性
   SNSの危険性を教える教育活動も重要です。規制だけでなく、子ども自身がリスクを理解し、安全に利用する能力を育むことが必要です。

Q: 最後にまとめると、この法律はどのような意味を持つのですか？

A: この法律は、子どもたちの安全を守るための大きな一歩です。オーストラリアが先陣を切る形で、他国にも影響を与える可能性があります。ただし、課題も多く、年齢確認の仕組みやプライバシー保護、教育活動とのバランスが重要です。

親や教育者にとっても、子どもたちが安心してインターネットを利用できる環境を作るために、法律だけでなく家庭や学校での啓発活動を進める必要があります。

このように、オーストラリアの取り組みは注目すべき動きですが、実際に効果を上げるには時間とさらなる努力が必要と言えます。他国や日本でも議論が進むことを期待したいですね