近年、カナダの安楽死制度(医療援助による死:MAID, Medical Assistance in Dying)は、世界的に注目を集めています。安楽死を合法化している国は限られていますが、カナダはその中でも比較的寛容な制度を持つ国の一つです。本記事では、カナダの安楽死の現状やその背景、論点について解説します。
カナダでは、2016年に医療援助による死(MAID)が合法化されました。これは、特定の条件を満たす患者が医師または看護師の助けを借りて自らの死を選択できる制度です。当初は末期患者に限定されていましたが、2021年に改正され、対象範囲が拡大しました。
2021年の改正により、これまで安楽死の対象外だった死が差し迫っていない患者も適用対象となりました。さらに、精神疾患のみを理由とする安楽死の適用も2024年3月に開始される予定でしたが、社会的議論の高まりにより延期されています。
この拡大には賛否両論があります。
カナダ政府の発表によると、MAIDを利用する患者は年々増加しています。2022年のデータでは、1年間で約13,000人が安楽死を選択しており、これは全死亡者の約4.1%に相当します。特に高齢者やがん患者の利用が多いとされています。
日本では安楽死は合法化されておらず、延命治療の中止に関しても厳格なガイドラインが設けられています。カナダのような制度の導入に対しては、日本国内でも賛否が分かれています。
カナダの安楽死制度は、個人の尊厳を重視した仕組みとして支持を集める一方で、倫理的・社会的な課題も多く抱えています。特に、精神疾患のみを理由とした安楽死の適用は慎重な議論が求められます。日本でも超高齢化が進む中、終末期医療や安楽死についての議論が今後さらに活発になるかもしれません。
読者の皆さんは、このテーマについてどう考えますか?