なぜHawaiiには“ｉ”が２つつく？

「Hawaii」に２つ「i」が付く理由

「Hawaii（ハワイ）」という名前を見て、不思議に思ったことはありませんか？なぜHawaiiには i が2つつくのでしょうか？　最後の「i」が2つ続いている理由には、ハワイの言語と文化が深く関わっています。この記事では、ハワイ語の音声体系や歴史をもとに、この興味深い疑問を解説します。

1. ハワイ語の音声体系：母音が鍵

ハワイ語はポリネシア語族に属する言語で、アルファベット13文字（母音5つ：a, e, i, o, u、子音8つ：h, k, l, m, n, p, w, ʻ）を使います。この中で特に重要なのが母音です。ハワイ語では母音が非常に明瞭に、そして独立して発音されるため、たとえ同じ文字が続いていても、それぞれがはっきりと聞き取れるのです。

例えば、「Hawaiʻi」の発音は次のように区切られます：

• Ha-wa-iʻi（ハワイイ）

最後の「i」が2つ続けて発音されますが、これは単なる伸ばし音ではなく、2つの独立した音節として存在します。この特徴を英語の表記にも反映させるために、「i」が2つ付いているのです。

2. 「ʻokina」の役割

ハワイ語では、「ʻokina（オキナ）」と呼ばれる記号（ʻ）が使われます。これは、英語でいうアポストロフィに似ていますが、実際には声門閉鎖音を示す大切な要素です。たとえば、「Hawaiʻi」の正式な表記では「ʻ」が含まれており、この記号が音節の区切りを明示します。

• ʻokinaは日本語でいう「ん」の前に一瞬止まるような感覚に近いものです。
• 「Hawaiʻi」の発音は「Ha-wa-iʻi」となり、「ii」の間にわずかな切れ目が入ります。

3. 英語表記の進化と影響

ハワイがアメリカの一部となる以前、ハワイ語は独自の文化と言語体系を持っていました。しかし、19世紀以降、英語が広がる中で、ハワイ語を英語のアルファベットで表記する必要が生じました。この際、ハワイ語独自の音をできるだけ正確に反映しようとした結果、英語表記でも「Hawaiʻi」の最後の「ii」が採用されたのです。

ただし、現在では英語で「ʻokina」が省略されることが一般的になり、「Hawaii」と表記されることがほとんどです。それでも「i」を2つ続ける形が残っているのは、ハワイ語の音声特性を尊重した表記法の名残と言えます。

4. 文化的背景：ハワイ語を守る取り組み

ハワイ語は長い間、英語の影響で話者が減少していましたが、近年では復興の動きが進んでいます。ハワイ州ではハワイ語が公用語の1つとして認められており、学校教育や看板、公式文書でも積極的に使用されています。こうした取り組みは、ハワイ語の表記や発音の正確さを再認識させるきっかけにもなっています。

まとめ

「Hawaii」という名前に「i」が2つ付く理由は、ハワイ語の音声体系を反映しているためです。特に、母音を明瞭に発音し、それぞれを独立した音として扱うハワイ語の特徴が、英語の表記にも影響を与えています。また、「ʻokina」という記号が音節の切れ目を示すことも重要なポイントです。

「Hawaiʻi」の語源

Hawaiiになぜ  i が2つつくのかをみて来ましたが、Hawaiiという名前の語源についてみていきましょう。ハワイという名前は、ハワイ語の「Hawaiʻi」に由来します。この言葉は、次の2つの要素から成り立っていると考えられています：

• 「Hawa」：家や土地を意味する言葉
• 「ʻi」：神聖なものや超越的な存在を指す言葉

これらを合わせて、「Hawaiʻi」は「神聖な土地」や「楽園の地」といった意味を持つとされています。

伝説と文化的背景

ハワイの名前の由来には、ポリネシアの神話が深く関係しています。ある伝説によれば、「Hawaiʻi」という名前は、ポリネシアの先祖であり、探検家でもある「Hawaiʻiloa」という人物の名前から来ていると言われています。Hawaiʻiloaはハワイ諸島を発見した英雄として知られ、彼がこの地を自身の名前にちなんで名付けたという説があります。

ポリネシアの共通点

「Hawaiʻi」という名前は、ポリネシア地域の他の言語にも似た名前が存在することから、広い文化的背景を持つと考えられています。例えば、サモアでは「Savai’i」、タヒチでは「Hawaiki」と呼ばれる地名があり、いずれも伝説上の楽園や起源の地を指す言葉として使われます。これらの言葉は、ハワイ諸島がポリネシア文化全体の重要な一部であることを示しています。