August 20, 2024
歴史の書物をひもとき、地図上で名前を追う旅をすると、国々の呼び名がその国の言語や文化だけでなく、歴史や国際関係によっても形成されてきたことに気づく。韓国はその典型例で、その名は「コリア(Korea)」という言葉にひそむ深い歴史的経緯と、世界の中のアイデンティティを映し出している。
「コリア」という名称の起源は、紀元前1世紀に朝鮮半島北部に栄えた古代国家「高句麗(こうくり、Goguryeo)」に遡る。中国の古文献ではこの国を「高麗(こま)」と記録しており、これがラテン語化されて「Cores」または「Corea」となった。この名前は、西洋の探検家や商人たちを通じてヨーロッパに伝わり、次第に「Korea」という形で定着していったのである。
19世紀末までには、朝鮮半島は「大韓帝国」として独立を宣言し、「韓国」という名前が使われ始めた。しかし、日本による植民地化とその後の分断を経て、半島は北と南に分かれ、「北韓」と「南韓」が成立。しかし、国際社会では依然として「コリア」という名称が用いられ続けた。
言語の違いは、国名の認識に大きな影響を与える。韓国では自国を「대한민국(大韓民国)」と呼び、その正式な英語表記は「Republic of Korea」である。しかし、長い間に渡って「Korea」という名称が国際社会に定着してしまったため、英語圏では特にこの呼称が広く用いられている。
「コリア」という名称は、今日では韓国の文化や製品のブランドアイデンティティとも結びついている。韓流(K-wave)やコリアンビューティー(K-beauty)など、韓国を代表する文化的象徴に「K」を冠することが多い。これは、国際的に認識されやすく、韓国文化の普及に寄与している。