2025年4月に開幕した大阪・関西万博。
その中でも特に注目を集めている展示が、日本館にある「火星の石」――そう、「火星から飛んできた」とされる隕石です。
とはいえ、多くの人がこう思ったことでしょう。
💬「ただの黒い石に見えるけど、本当に火星から来たの?」
💬「宇宙から来たのは分かるとして、なぜそれが“火星由来”だと断言できるの?」
その疑問、ごもっともです。
そもそも、なぜ特定の石が火星の石だと分かるのでしょうか?
実は、火星隕石には「火星から来た」と言えるだけの確かな科学的根拠がいくつもあるのです。今回は、それをわかりやすく解説していきます!
火星由来の隕石の中には、岩石が固まる過程で**微小な気泡(ガスの泡)**が閉じ込められているものがあります。このガスを分析すると…
🌬 火星探査機(たとえばNASAのバイキング1号)などが採取・分析した火星大気と完全に一致する成分が検出されるのです。
たとえば:
このガス成分の一致は偶然とは考えにくく、「その石が火星の大気にさらされていたこと」を示す確たる証拠となります。
酸素には、質量の違う「同位体」³種類(¹⁶O、¹⁷O、¹⁸O)があり、これらの比率は天体ごとに固有のパターンを持っています。
火星隕石の酸素同位体比を分析すると…
📈 地球や月、小惑星のものとは異なる、火星独特の比率であることが分かります。
これはまさに「酸素の指紋」とも言えるもので、
🔍「この石は火星でできた」と示す非常に強力な証拠です。
火星の地表には、かつて巨大な火山が存在し、活発な火山活動を行っていました。
火星隕石がどの時代に形成されたかを調べるために、放射性同位体年代測定法が使われます。これにより、多くの火星隕石がおよそ1000万〜1300万年前に形成されたことが分かっています。
📅 この年代は、火星の火山活動が活発だった時期と一致しており、
⛰ つまり「その頃火山の噴火などでできた岩石が、後に宇宙へ飛び出した」と考えられるのです。
では、火星にあった石が、どうやって地球まで来るのでしょうか?
実は、火星に小惑星や彗星が激突すると、衝撃で岩石が秒速5キロ以上の速度で宇宙空間へ飛び出すことがあります。これは「脱出速度」と呼ばれるもので、火星の重力を振り切るのに必要なスピードです。
🚀 飛び出した岩石は、数百万年から数千万年かけて太陽系を漂い、偶然地球の重力に引き寄せられて落下してくることがあります。
このシナリオは、物理シミュレーションでも実証されており、**理論上も観測上も「あり得ること」**なのです。
火星隕石の多くは、以下のような場所で発見されています:
こうした地域では、隕石が風化せずに数千年~数万年保存されるため、地球上の汚染が少なく、正確な科学分析が可能です。
🔬 科学者たちは、こうした条件の整った隕石を丁寧に分析し、火星由来であることを確認しています。
現在、地球上で見つかっている隕石の数はおよそ7万個以上ありますが、そのうち火星由来と確認されたものはわずか300個以下。
その中でも、展示用に使えるような状態の良いものはごく一部です。
🌠 つまり、大阪・関西万博の「日本館」に展示されている火星の石は、
**とてつもなく貴重な“宇宙からのメッセンジャー”**なのです。
✅ 火星隕石と判定される主な理由:
火星隕石とは、単なる「石」ではありません。
それは、火星の地表から長い旅を経て地球にやって来た“宇宙の旅人”。
そこには、太古の火山活動の痕跡、大気の成分、宇宙空間を漂った時間――
数千万年分の物語が詰まっています。
大阪・関西万博で出会えるその石は、科学とロマンが交差する奇跡の結晶。
ぜひ現地で、宇宙からのメッセージに耳を傾けてみてください🌌✨