保険の対象である海外引越貨物にダメージ・ロスなど事故が発生した場合、保険会社からスムーズに保険金払いを受けるためには適切な保険求償手続きを採る必要があります。たとえば、船会社・運送業者に対する損害賠償請求権の保険等も保険請求手続き上、重要な位置を占めています。
まず海外引越貨物に事故が発生した場合の手続き(保険金請求手続き)につき説明します。
被保険者が、貨物海上保険により損害のてん補を受けるためには、主に次の3点を明らかにする必要があります。
損害発生後、時間が経過すればするほど上記の点を明らかにすることは困難になり、スムーズな保険金支払いに支障をきたすことになります。したがって、海外引越し貨物が仕出地を離れてから受荷主の手元まで輸送される間に海難その他の事故によって損害を破ったことを知った場合、被保険者は遅帯なくその旨を保険会社に通知しなければなりません。具体的には輸入貨物の場合は、直接保険会社へ、輸出及び三国間貨物の場合には、予め保険会社によって指定された海損精算代理店または査定代理店に通知することになります。
損害の通知が遅れると、その損害がいつ、どこで発生したのか認定が困難になるばかりか第三者への損害賠償請求権も失われるおそれがあります。また、貨物の種類、損害の状況によっては、受損したまま貨物を放置しておくと、損害の範囲および程度が拡大することにより、損害の一部が保険で回収できないという場合も生じます。したがって、保険会社への迅速な事故通知を必ず行う必要があります。
なお、貨物の損害がさらに拡大する恐れがある場合には、必要な損害防止軽減の処置を早急に講じる必要があります。保険カバー終了以前に、損害を防止軽減するために、被保険者等によって合理的に支出された費用は、防止軽減しようとした損害が保険金支払いの対象となる場合には保険証券本文の損害防止約款に基づき、物的損害と合わせて保険金が支払われます。
(1) サーベイの手配
損害が発生した場合、それがどこでどのような危険により発生し、また損害額はいくらになるかを証明する方法としては、後述のように立証書類を提出していたがくだけで足りる場合もありますが、必要に応じ、損害の原因・数量・状態・損害額等ダメージの全容につきサーベイを依頼し、損害立証書類としてサーベイ・レポートを取り付けます。
通常、このサーベイは専門の知識を有する第三者機関のサーベイヤーにより行われ、損害の数量、程度の確認および損害の原因、発生時点についての公正な判定が下されます。さらに、サーベイヤーには損品の処理について専門家としての適切な助言を求めることができます。サーベイやによる各種の調査の結果をまとめた報告書が鑑定書(サーベイ・レポート)であり、損害の全貌を明らかにし、後の保険てん補責任の確定および保険金の査定における基礎資料となります。
このサーベイを迅速・確実に行うためには、被保険者は損害の通知の際に以下の点につき確実に連絡することが大切です。
また、損害通知の時点で、船積書類 (商業送り状、パッキング・リスト、船荷証券、保険証券など) を被保険者は保険会社に提出することとなります。
*海外引越し貨物の場合は商業送り状は通常不要。
(2) サーベイ手配が省略できるケース
不着損害(Non-Delivery)のようにCargo Boat Note、Landing Report、Devanning Report、人出庫報告書等に付されたリマークで、損害発生時点・損害数量が明確に判る場合、あるいは、積地および揚地でのWeight Certificateにより、不足損害(Shortage)の事実が立証できる場合のように、輸送の各段階で発行される書類上の記録で損害が立証できる場合には、必ずしもサーベイを実施する必要はありません。被保険者はこれらの立証書類を提出することで、保険金の請求が可能です。しかしながら、上記の損害形態であっても、損害が以上に大きい場合や、損害額などの立証が書類だけで難しい場合は、詳細な調査を行うため、サーベイの手配をする必要があります。
(3) サーベイ施行に関する留意点
サーベイは、少なくとも当該保険カバーが終了した地点で実施されることが必要です。保険につけられた輸送区間終了後、貨物が奥地まで運ばれ、奥地でサーベイが実施された場合には、サーベイヤーは保険期間内の損害の認定ができない場合があり、その場合サーベイ・レポートは保険金請求のための有効な書類とならないからです。
被保険者が保険金を請求できる前提は、保険につけられた期間・区間内に事故が発生し、貨物に損害が生じたことを証明することですので、被保険者は保険証券で保険につけられている輸送区間に留意し、損害発生のおそれのある場合には保険区間が終了した場所でのサーベイが手配されるようにすることが大切です。
また、サーベイヤーの原因究明を容易にするため、サーベイが実施されるまで、被保険者は可能な限り損害が発見された時の状態を保つことが大切です。荷役の関係上、どうしても貨物を移動させる必要がある場合には、被保険者は保険会社へその旨を連絡し処理の打ち合わせ(例えば、梱包を保管しておく等)をしておくことが大切です。
(1) 概要
輸送中に貨物に生じた損害の多くは、貨物が船会社をはじめ運送業者、倉庫業者、荷役業者等荷主とそれぞれの運送契約、保管契約、荷扱い契約を結んだ受託者の管理下にある間に発生することから、最終的にはそれぞれの受託者が貨物の損害に対して、契約に基づいて責任を負うのが原則です。したがって、被保険者である荷主は保険求償とは別に損害についてそれぞれの直接の損害の責任者である受託者に対して損害賠償請求権の留保する手続きをとることとなります。この点は、保険契約上も被保険者の義務となっており、保険証券裏面の協会貨物約款第9条:受託者約款(Bailee Clause)に、以下の通り規定されています。
協会貨物約款第9条 受託約款 |
受託者が責任を負うべき損害については、その責任を荷主が追求するのが本来の姿かもしれません。しかし、多くの場合、保険会社は保険事故に対し被保険者たる荷主に保険金を支払い、被保険者の有する受託者に対する求償権を譲り受けて(代位と呼びます)、保険会社が引き続き損害賠償請求を行う方法(代位求償又はリカバリーと呼びます)をとっています。
求償権の移転は、権利移転証 - Subrogtion
Formへの保険金受取人のご署名をもって行われます。この場合、保険会社が自己責任者へ代位求償を行うわけですが、求償を進めていく上で必要な事柄(損害に対する求償先の意向を示したReply
Letterの取付けや、相手方の過失を立証する書類の提出等)については、被保険者である荷主と協力して進めていくこととなります。
(2) 損害賠償請求に関する留意点
補足
海外引越し貨物の場合通常はある程度の期間使用されていた中古品がほとんどかと思われます。 パッキングリストには新品価格でなく中古価格を申告していただくことになります。
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