意思をもったAIロボットが日本で科学者を殺した。そんな信じがたいようなアメリカ発のフェイクニュースが世界中に広っている。日本ではこのAIが起した事件の話をフェイクニュースとしてさえ聞いたことさえない人がほとんどではないだろうか。事の発端は2018年に遡る。4年の年月をかけてはいるがアメリカ・カナダのみならずインドや中東、ウクライナ、リヒテンシュタイン等を含むヨーロッパ諸国全域、アジア、ナイジェリア、南アフリカ、マダガスカルなどありとあらゆる地域でこの【日本が舞台】のフェイクニュースが伝わっているようだ。
【4台のAIロボットが日本の科学者29人を殺害した】という米国発のフェイクニュース。インターネット、特にソーシャルメディアを通して世界各地に広まったが、その事件が起きたとされる日本では今のところ、この話はフェイクニュースとしてさえネット上でもほとんど広がっていない。
話の内容を聞けば大多数の人はこれがフェイクニュースであることをすぐに理解するだろう。
しかし米国をはじめとする世界中でこの話を真実として信じ込んでいる人が多数いるのだ。日本の先端技術を持つ【どこかの】一流ロボット企業でロボットが科学者を襲って殺害したとする話は、日本ではニュースとして報じられることはなかった。しかし今後世界中で騒ぎになっているフェイクニュースとして話題になるかもしれない。日本でもネット発のフェイクニュースや陰謀論が数多くあるが、さすがにこの話は舞台が日本となっているが話の出所がアメリカのため信じ込む日本人は皆無なのではないか。
2018年12月アメリカ。SNS上でネットユーザーが「AIロボットが日本の科学者29人を殺害した」というニュースを短い動画とともに投稿し、そのニュースは拡散し始めた。その動画は2018年2月にアメリカ、ロサンゼルスで開催されたConscious of Life Expoにおけるもので、環境保護主義者でUFO研究家のリンダ・モールトン・ハウ氏が行ったプレゼンテーションであった。そのプレゼンテーションでハウ氏は、その日のトークの主なテーマであるAIの危険性、宇宙人との遭遇やアブダクション(誘拐)について言及。 ハウ氏はこれまで数々の陰謀論を主張し、人類は高い知性を持った異星人によって創造され今なお彼らの実験の対象とされ管理下に置かれていると主張している。スタンフォード大学出身で、元ミス・アイダホでもある。 1942年生まれで、UFO研究家としてアメリカでは最も知られた存在。1980年には多数の家畜に不思議な傷跡がつけられた事件に関するドキュメンタリー映画を制作し、その中でそれらの傷は異星人とアメリカ政府の共謀により行われた実験によるものであると主張している。
ハウ氏はそのExpoでのプレゼンテーションの冒頭で、日本の先端ロボット企業が開発していた軍事AIロボットの内4台が反乱を起し、自らの意思で特殊な金属弾を発射して研究所の科学者29人を襲撃し殺害したと述べた。彼女は事件の際、研究所の作業員が直ちに2台のロボットを停止させ、別の1台を破壊したが、4台目は衛星通信で外部のネットワークと通信することによりと自ら修復を始めたと述べた。 そして、ハウ氏は続けて、「この事件は決して公表されることはない。なぜなら公表することより、ロボット企業は金銭的な損失が大きすぎるし、何より日本政府はAIロボット兵を密かに開発し続けたいのだから。」と主張した。
ハウ氏によると、この事件の情報源はCIAなどと契約している元海軍所属の内部告発者だという。
電話で受けたその告発内容をハウ氏は手で書きとめただけのため、その会話の内容は録音していないと言う。
ハウ氏は、このAIロボットによる殺害事件が起きた具体的な時期、製造していたとされる日本の企業名や殺害された科学者の名前に言及することはなく、その発言内容は全く信憑性のないものであった。 しかし、この日本のロボット事件に関する情報は、プレゼンテーションのビデオが拡散されるなどして米国の陰謀論支持者やインターネットユーザーの間で瞬く間に広まった。
このロボット襲撃事件、当然のことながら一般の海外メディアはとても報じるに値する話とみていない。
もし仮にこのような29人という多数の人間が死傷するという事件が起きたならば日本のメディアはいち早く報道するだろうし、第一に現時点においてAIロボットは意思を持つにはほど遠い。
日本でAIロボットが29人の人間を襲い殺害したという話は、全く根拠のない第三者が誰も確認していない情報に基づいていることは明白。一部の海外メディアは、この話は人類が高い知性と文明を持った宇宙人によって太古に創造されたという主張の彼女のスピーチをインパクトのあるものにするために作られたものだとしている。人類は宇宙人にからみればアンドロイドと同じという主張をサポートする上で考えついた話ではないだろうか。
スピーチが行われたConscious
of Life Expoの聴衆は【この手の】話を好んで聞き、信じやすい人たちだという。
ハウ氏は受賞歴のあるUFO研究家で、陰謀説を広めることで知られている。
2020年3月の内戦中のリビアでのことであるが、AIを搭載したドローンが逃亡する民兵を追いかけ、人間が直接操縦していない状態で標的を追尾し攻撃した可能性について海外メディアが報じている。
また国連安全保障理事会の専門家パネルによる報告書によると、その際使用されたドローンはこの内戦に技術的に介入していたトルコの先端軍事技術を手がける企業STMが製造したKARGU
2と呼ばれるもので人間が直接操作や最終判断をせずにAIによる自動攻撃が行われた世界で初めてのケースと指摘した。しかしSTM社はこのAIによる自動判断があったと言う点に関して否定している。
いずれにせよ現在のAIは人間が攻撃をするようプログラムを組んだ上での部分的な自律行動しか取らない。
AIが実際に【考える】という能力を持つことが出来るのは今から何世紀後になるのであろうか?