船荷証券(bill/of lading)の表面、裏面にはいわゆる運送約款が英文にて書かれておりますが、以下はその和訳分です。あくまでも参考までのものですので、正式には英文の原文に基づきます。
表面約款
運送人は本運送証券に記載の運送品(海外引越し貨物)又は本運送証券に記載の運送品を内容品とするコンテナ、もしくはパッケージを、本運送証券に他の記載がない限り外観上良好な状態で荷送人(送り主の意)より受取り、本運送証券の表裏面に規定する全ての条項に従うこととする。本運送証券記載の本船又は運送人の選択する代替船もしくは他の運送手段により、本運送証券に記載された受取地もしくは船積港から荷揚げ港、引渡地までの運送をし、該当地において本運送証券の指図する者又は譲受人に引き渡すものとする。なお正当に裏書された本運送証券と引替えに、運送品もしくは荷渡指図書を引き渡すものとする。この運送証券を受領することにより、荷主はこれに相反するいかなる地域的習慣にもかかわらず自らが署名した場合と全く同様に、手書き、タイプ、印又は印刷のいずれかで、本運送証券の表裏面の規定、免責事項及び条項に拘束されることに同意するものとする。さらに本運送証券が運送品、
海外引越し貨物の運送に関連した
全ての協定又は運賃取決めに優先することに合意するものとする。
荷主が明細を用意提供するものでありその記載事項に関しては、運送人の知る限りではない。
本運送証券第18条、第23条の規定により運送人の責任は多くの点で運送品の滅失、損傷に関して免責されている事実が多いことから各荷主の注意を喚起する。
上記の証拠として下記に署名する者は、同一の文書、日付の本運送証券記載の複数に署名をし、このうちの一つが回収された時は、他の数通は無効となることとする。裏面約款を拡大した写しは要求があった場合、運送人から入手できるものとする。(当文書のこと)
裏面約款
第1条 定義
(1)「運送人」とは自社、自己あるいは、その名を用いて荷主と運送契約を結び本運送証券に基づく運送の履行責任を負う本
運送証券
表面に記載の会社を指す。
(2)「実運送人」とは船舶の所有者及び運航者、港湾荷役業者、ターミナルオペレーター、鉄道道路、航空運送人、独立した契約者(下請けなど)並びにそれらの者の使用人、代理人であって、運送人が本運送証券に基づく運送の全部あるいは一部を履行するために、その役務を調達する者等をいう。
(3)「運送」とは運送人が運送品(商品、海外引越し貨物)に関して引き受ける作業並びに役務をいう。
(4)「コンテナ」とは運送品をまとめるために使用されるコンテナ(オープントップ、フラットラック、プラットフォームコンテナ含む)パレット又は類似の輸送用器具等のことをいう。
(5)「運送品」とは本運送証券表面記載の貨物、
海外引越し
の物品をいう。荷主が提供した、もしくは荷主の為に提供されたコンテナに貨物が詰められている場合には、そのコンテナをも含むものとする。
(6)「荷主」とは荷送人、委託者、荷受人、運送品(商品、海外引越し貨物、別送品)の所有者並びに受取人、又本運送証券所持人並びにそれらのために行為する者等をいう。
第2条 至上役款
(1)
本運送証券が運送品の海上又は内陸水上運送を対象とする限り、本運送証券は、1992年6月3日に改正された1957年6月13日制定の日本国、国際海上物品運送(以下法律という)の規定に基づいて効力を有する。但し、1924年8月25日ブリュッセルで作成された船荷証券に関するある規則の統一、国際条約(以下ヘーグ・ルールという)又はヘーグ・ルールを改正するための1968年2月23日にブリュッセルでで作成された定義書、もしくは適用ある場合には1968年2月23日の定義書によって改正されたヘーグ・ルールを改正する1979年12月21日にブリュッセルで作成された定義書と類似の性質のその他立法が本運送証券に強行的に適用あると判示された場合にはそれらの立法(以下ヘーグ・ルール立法という)の規定に基づいて効力を有するものとし、かつ、法律及びヘーグ・ルール立法は本運送証券に摂取されているものとみなす。
(2)
法律又はヘーグ・ルール立法は、運送品が船舶への積込前及び船舶からの荷揚後、運送品が船積港又は荷揚港のターミナルにおいて、運送人並びにその使用人、代理人もしくは実運送人の管理下にある全期間を通じて適用されたものとする。
(3)
本運送証券のいずれかの規定が、法律又はヘーグ・ルール立法又は本運送証券により証明される契約に強行的に適用されるその他一切の法律、規定法又は規則に低触しもしくは矛盾すると判断された場合には、当該規定はその抵触又は矛盾する範囲で無効とするが、それ以上には及ばないものとする。
第3条 譲渡性及び運送品、海外引越し貨物の権利
(1)
本運送証券を受領したことにより、荷主及びその譲受人は、本運送証券の表面に「譲渡禁止」と記載されていない限り、本運送証券が運送品(海外引越し貨物)の権利を構成するものであること。本運送証券の所持人は、本運送証券を裏書することにより本運送証券に記載の運送品を受取る。もしくは譲渡する権利を有することを運送人と合意する。
(2) 本運送証券は、証券表面に「shipper's weight,load and count」、「shipper-packed
container」又は類似の表現等の反対の表示がされてない限り、運送人が表面記載の運送品を受取ったことを証明する一応の推定的な証拠となる。但し、本運送証券が善意の第三者に譲渡又は移転された場合は、反証は認められないものとする。
第4条 準拠法及び裁判管轄
本運送証券により証明される又は含まれる契約は、本運送証券に特に別段の定めがない限り、日本国法律に準拠し、本運送証券のもとで生ずる運送人に対する一切の訴訟は、日本の東京地方裁判所に提起されるものとする。
第5条 運送人のタリフ
運送人が適用するタリフの条項は、本約款に摂取されているものとみなす。適用されるタリフの関係条項の写しは、要求があり次第運送人から入手することができる。本運送証券と適用するタリフとの不一致があるときは、本運送証券が優先するものとする。
第6条 責任制限立法
本約款にある規定は、運送人に対して適用となる全ての国の法令、制定法又は規則により認められる法定の保護、免責又は責任制限を制約し、又は運送人から奪うように運用されてはならない。
第7条 複合運送証券の発行
(1) 運送人は、本複合運送証券の発行により、運送品を受取った地点から本複合運送証券表面に指定されている引渡地までの運送の履行並びに自己の名において運送の履行を調達することを引受ける。
(2) 「複合運送証券」の頭書にかかわらず、本複合運送証券に定められ、言及される規定は、単一の運送方法による場合にも適用する。
(3)
本運送証券は、荷送人が通告した記号(ケースマーク)番号、数量、重量及び体積に基づいて発行され、荷送人は運送人が運送品を受取った時に、運送品の中身及び明細が正確かつ適正であることを保証したものとみなす。荷送人は、明細が不正確であること、不適当であること又は不十分であることにより生じた送人が被る損失、損害並びに一切の費用を補償するものとする。運送人の当該補償請求権は、荷送人以外の者に対し、運送人が本運送証券の下で負う義務及び責任をなんら制限するものではない。
第8条 運送の方法及び経路
(1) 運送人は荷主に通知することなく、いつでも次の措置を自由に講じる権利を有する。
【a】 いかなる運送方法並びに保管方法を使用すること。
【b】 積替又は証券表面に記載されている以外の船舶による運送を含み、ある運送手段から他の運転手段に移して運送品を運送すること。
【c】 コンテナに詰め込まれた運送品、海外引越し貨物を取り出し、他のコンテナ又はその他の方法にて転送すること。
【d】 運送品、海外引越し貨物をいかなる地点又は港(表面に船積港もしくは荷揚港として記載されている港であるか否とを問わず)において積込み又は荷揚げし、かつ運送品をかかる任意の地点又は港で保管すること。
【e】
いかなる政府、当局又はかかる政府、当局の代理人として行為し、もしくは行為すると称する者、団体並びに運送人の使用する運転手段にかけられた保険の条項により命令又は指示をする権限を有する者、団体により出された命令及び勧告に従うことができる。
(2)
前項に規定された自由については、運送品の運送に関係ある無いとを問わずに、運送人はいかなる目的のためにも授用できる。前項に基づいてなされた行為又はその行為により生じた遅延は、契約上の運送の範囲内とみなされ、かつ離路ではない。
第9条 運送品(海外引越し貨物)の検査
(1)
運送人は、なんら義務を負うことなく、いつでもコンテナもしくは包を開き内容品を検査する権利を有する。かかる検査により中身又はその一部が安全、適切に運送すること、又は運送を継続することが全く不可能であるか、又は運送を継続するために包、もしくはコンテナ又はその中身もしくは一部について追加費用を要する場合など、なんらかの措置を講ずる必要がある場合、運送人は、その運送の放棄又は運送継続のため、あるいは運送品の保管のため如何なる措置をも講ずることができる。さらに陸上と船上であるとを問わず、屋内屋外であるとを問わず、これを行うことができ、かかる保管は、本運送証券上の正当な引渡しを構成するものとみなされる。荷主は、これらにより生じた追加費用を運送人に対して補償するものとする。
(2) いかなる場所であっても、当局の命令により中身の検査のためコンテナを開扉しなければならない場合は運送人は、開扉、取出し、検査及び再詰込みにかかる費用を荷主から回収する権利を有する。
第10条 不測の事態
(1)
運送証券に基づく運送の履行が相当な努力を尽くしても避けられない、障害、危険、騒動の影響を受けた時、もしくは受けそうな場合、運送人は運送が開始されていると否とを問わず荷主に通知することなく運送が終了したものとして処理することができる。さらに運送品又はその一部を運送人が安全で便利であるとみなす、いかなる地点もしくは港において、荷主の処置に委ねることができ、それをもって運送品、海外引越し貨物に関する運送人の債務が終了する。その場合には、荷揚げ、陸揚げ、保管及びその他取られた措置をもって、完全にして最終の引渡し及び本運送証券に基づく運送の完全な履行を構成し、運送人はそれ以後、運送品の責任を免れる。
(2)
前項の事態には、宣戦が布告されたと否とを問わず戦争又は戦争の懸念、戦闘行為、戦争類似もしくは交戦行為、騒擾、暴動及びその他の騒動、並びに通商及び貿易上の禁制、禁止、制限、検疫、衛生、その他類似の規則、制限、部分的であること全面的であるかを問わず、運送人又は実運送人の使用人を含むと否とを問わず、同盟罷業、作業所閉鎖、その他の労働争議、港、埠頭、臨海ターミナル、その他の混雑、運送品、海外引越し貨物の積込み、荷揚げ引渡し、取扱のための労働力、施設の不足、疾病、悪天候もしくはその他運送品、海外引越し貨物の運送に係るいかなる障害等を含むものとする。
(3)
前二項の場合、運送人は、運賃及び料金の全額を受取る権利を有し、荷主は荷揚げ港又は陸揚地までの運賃又はかかる港もしくは地点において荷揚げ、陸揚げ、保管、その他の措置により生じたその他費用を支払う義務があるものとする。
第11条 積付の自由及び甲板積貨物
(1) 運送人は、運送品、海外引越し貨物をコンテナに詰め、他の荷主の運送品(海外引越し貨物、商品)とまとめて運送することができる。
(2)
運送人は本運送証券の表面にコンテナ又は運送品が艙内積みで運送されることが明示されている場合を除き、運送品(海外引越し貨物)がコンテナ詰めであると否とを問わず、荷主に通知することなく運送品を甲板積み又は艙内積みで運送する事ができる。甲板積みで運送された場合、運送人は甲板積である旨を本運送証券に記載、マークもしくはスタンプすることを要しない。本条第(3)項を条件として、運送品が甲板積みであると艙内積みであるとを問わない。甲板積みである旨の記載があると否とを問わず、共同海損に参加するものとし、また第2条に規定する国際海上物品運送法又はヘーグ・ルール立法の運送品の定義に含まれるものとみなす。
(3)
本運送証券に甲板積である旨の記載がある運送品(海外引越し貨物)は、実際に甲板積みであると否とを問わず、不堪航又は過失その他の原因によるかを問わず、海上運送中に発生するいかなる滅失又は損傷についても、運送人は責任を負わない。
第12条 危険品及び禁制品
(1)
荷主は、運送品(海外引越し貨物)の種類を書面により運送人に事前に通知し、運送人の書面による明確な同意を得て、運送品又はコンテナその他の包装の外面に法律、規則もしくは危険物の運送に関する国際条約の定めた表示をしなければ危険性、可燃性、放射性又は破壊性のある運送品を運送のために提出してはならない。
(2)
前項の必要条件が満たされない場合又は運送品(海外引越し貨物)が禁制品であること、船積港、荷揚港、寄港地、運送途上のいかなる地点における法律又は規制により禁止されていることが判明した場合は自らの判断より荷主に補償することなく当該運送品を無害化し、投げ荷し、もしくはその他の方法で処分できるものとし、荷主は当該運送品(海外引越し貨物)から生ずる一切の損失、損傷又は責任、運賃の損失及び直接的又は間接的に生ずる一切の費用について責任を有し、運送人に対して補償するものとする。また、運送人は当該運送品(海外引越し貨物)に関する共同海損分担金の支払いの責任を負わない。
(3)
第1項の規定を満たして提出された危険性、可燃性、放射性又は破壊性がある運送品(海外引越し貨物)が船舶、貨物、その他の財貨又は他人に危害を及ぼす場合、当該運送品は同様に、荷揚げ、処分又は荷主に補償することなく無害化できるものとする。
(4) 荷主が運送品の性質を承知していると否とを問わず、荷主は当該運送品の運送の結果発生する全ての求償、損害賠償もしくは費用、人体の障害もしくは死亡について、運送人に補償するものとする。
第13条 重量物
(1) 一個又は一包当たりの重量が1メトリック・トンを超える重量物である場合、運送人の受取前に荷主はその重量を書面により通告し、その個品又は包の外面に縦5センチメートル以上の文字と数字で明瞭に表示しなければならない。
(2)
荷送人が前項に基づく義務に違反した場合、運送人は運送品(海外引越し貨物)の一切の滅失又は損傷について責任を負わず、荷主の義務違反に基づく財貨の滅失、損傷、人身の障害もしくは死亡については荷主が責任を負い、当該義務違反の結果として運送人の被る損失又は責任について荷主は補償しなければならないものとする。
第14条 自動車及びその他の無包装運送品
自動車、鉄道車両、トラクター、機械その他の無包装運送品について、その外観上良好である旨の記載は、これらの運送品が受取られたときに通常の注意をもってしても発見できない曲損、凹損、掻き傷、穴、切り傷及び打撲傷がなかったことを意味するものではない。運送品はいかなる場合であってもかかる状態については、責任を負わない。
第15条 鉄、鋼材及び金属製品の表面の錆、酸化、湿気その他の類似の状態は、損害ではなく、運送品の性質に固有するものであり、運送人が外観上良好な状態で運送品を受取ったことの容認は、運送品が受取られたときに、明らかに錆、酸化、湿気その他類似の状態がなかったことを意味するものではない。運送人は、運送品の固有の性質の結果として生ずる損失又は損傷については、その責めを負わない。
第16条 生動物及び植物
生動物及び植物の運送引き受けがなされたときは、その受取、船積み、手入れ、積付け運送、荷揚げ及び引渡しは荷主のみの危険負担においてなされるものとし、運送人は当該運送品の受取、運送、保管のために船舶及びその他の運送手段の堪航能力、装備、人員配置及び補給状態について、如何なる担保及び保証もない。
第17条 温度調節を要する運送品
(1)
荷主は、その種類及び維持されなければならない特定温度範囲を事前に書面通知することなく温度調節を要する運送品を運送のために申し込まないことを保証する。荷主は自己又は代理人により詰められた温度調節コンテナの場合には運送人が運送品受取る前に運送品がコンテナに正しく詰められ尚且つその温度自動調節装置が荷主より適正にセットされていることを保証する。もし、前述の条件が満たされていないときは、運送人は運送品の滅失又は損傷について一切の責任を負わない。
(2)
運送人は運送の開始前又は開始時に効率の良い状態に温度調節コンテナを維持するために十分な注意を尽くした場合には、コンテナの温度調節機械、装置、断熱材の隠された瑕疵、故障、不調、停止又は機能低下により生ずる運送品の滅失又は損傷については一切の責任を負わない。
第18条 高価品
運送人は白金、金、銀、宝石、貴金属、放射性同位素、高価な化学物質、金銀塊、正金、通貨、流通証券、有価証券、作品、文書、絵画、刺繍品、芸術作品、骨董品、相続財産、あらゆる種類の蒐集品又は荷主のみに特別な価値のある物品を含めた全ての高価品の滅失又は損傷についてそれらの真実の種類及び価値が運送品(海外取引貨物)の受取に先立って荷主により書面で通行され、本運送証券の表面に記載され、且つそれについての従価運賃が前払いされていなければ運送人は一切責任を負わない。
第19条 運送品(海外引越し貨物)の引渡し
(1)
本運送証券上、運送品(海外引越し貨物)の到着通知を受ける者についての記載は、単に運送人の参考の為のものであり、通知しなかったことにより運送人は、なんら責任を負わない。また荷主は本運送証券に基づく義務を免れないものとする。
(2)
運送人が荷主に対して運送品(海外引越し貨物)の受取を要求できる時及び場所において、荷主が運送品又はその一部を受取らない場合には運送人は、通知することなく、運送品がコンテナに詰められているときは、これを取出し又は運送品を陸上、船上であると、屋外、屋内であるとを問わず荷主の責任において保管することができる。かかる保管は本運送証券に基づく正当な引渡しを構成し、これにより運送品又は保管された運送品に対する運送人の責任は終了する。また、かかる保管の(運送人並びにその代理人又は実運送人が支払うべき)費用は、運送人の請求があり次第、荷主が支払わなければならないものとする。
第20条 記号による引渡し
(1)
運送人が運送品(海外引越し貨物)を受取る前に荷主によって運送品(海外引越し貨物)、包又は容器に縦5センチメートル以上の文字と数字により記号が陸揚港名とともに明瞭且つ消えないようにスタンプ、明示されない限り運送人は記号による引渡しの不履行又は遅延について責任を負わない。
(2) 運送人は、如何なる場合も主記号以外の記号による引渡しについては、責任を負わない。
第21条 特殊な引渡し
(1)
運送人により受取られた運送品(海外引越し貨物)が荷主によりその中身が詰められたコンテナである場合には、運送人は本運送証券表面に記載されたコンテナの合計数の引渡しについてのみ責任を負う。但し運送人の絶対最量により且つコンテナの開扉時に発見された運送品(海外引越し貨物)の不足、滅失、損傷又は不一致について一切責任を負わないことを条件に、コンテナを開扉し、その中身を包又は個品の商標、記号、寸法もしくは種類別に基づいて引き渡すことができる。
(2)
運送人により運送品(海外引越し貨物)がコンテナに詰められた場合は、運送人はコンテナを開扉して、その中身を引き渡すものとする。但し荷主と運送人との間に事前の協定、運送人の絶対的裁量により運送品をコンテナに詰められた状態で荷主に引き渡すことができる。この場合において、運送人により封印に異常がない状態でコンテナに引き渡された時は、運送人の義務の全面的完全な履行とみなされ運送人はコンテナの中身の滅失又は損傷について責任を負わない。
第22条 運送人の責任
(1) 運送人は運送のために運送品(海外引越し貨物)を受け取ったときから引渡しまでの間に生じた運送品(海外引越し貨物)の滅失、損傷について以下に述べる範囲で責任を負うものとする。
(2) 運送人は滅失、損傷又は引渡しの遅延が次の事由により生じたものであるときは滅失又は損傷の責任を免除される。
【a】荷主の故意又は過失
【b】指図権者の指示に従ったこと
【c】運送品(海外引越し貨物)の固有の瑕疵(かし)又は性質
【d】包装の不完全又は記号の不十分
【e】荷主が提供した運送品(海外引越し貨物)をまとめるために使用したコンテナの欠陥
【f】荷主によるコンテナの取扱、積込、積付又は取出し
【g】戦争、戦争類似の作戦、騒乱、暴動及び理由のいかんを問わず部分的又は全面的なストライキ、ロックアウトもしくは労働の停止及び制限
【h】相当な注意を尽くしても運送人が避けることの出来ない原因、事件であって、その発生を防ぐことが出来ない結果
(3) 滅失又は損傷が発生した運送区間が判明したときは、本約款の別段の規定にかかわらず運送人の責任は、国際条約又は強行的に適用される国内法の規程により定めるものとする。但し次の場合は除く。
【a】運送人と荷主の間に私的契約があり、荷主に不利な変更となるときは当該契約によるものとする
【b】滅失又は損傷が発生した特定の運送区間の運送人と荷主が別個かつ直接の契約を締結し、その証拠として当該国再条約又は国内法が適用される為に発行すべき特定の書類を受取ったとしたら適用される
(4)
内陸運送中実運送人の管理下にある間に発生した滅失、損傷が証明されたときには運送人の責任及びその限度は実運送人の運送契約、タリフに基づいて決定するものとする。このような契約又タリフがない場合の責任限度は、本約款23条に定めるものとする。
(5) 滅失、損傷が発生した区間が立証できないときは、滅失、損傷は海上運送中に発生したものとみなし、運送人は本約款第2条に定める国際海上物品運送法又はヘーグ・ルール立法に規定する範囲で責任を負うものとする。
第23条 責任の限度
(1)
運送人が運送品(海外引越し貨物)の滅失、損傷について賠償責任を負う場合には、荷主との合意により、その賠償額は荷主に引き渡される場所、時、又は引き渡されるべき場所、時における運送品(海外引越し貨物)の価格により計算されるものとする。運送品(海外引越し貨物)の滅失、損傷に関する運送人の責任の範囲を定めるにあたり、運送品の正品価格は荷主の送り状価格に支払済みの運賃、料金及び保険料を加えたものとみなす。
(2)
運送人はいかなる場合であっても、その原因のいかんに関らず、1包、1単位当たり666.67計算単位、又は滅失、損傷した物品の総重量の1kg当り2計算単位に相当する金額のうちいずれか高い金額を超えた運送品に係る一切の滅失、損傷に対し責任を負わないものとする。
(3)
本条に定める限度を超える賠償額は運送人の同意を得て運送の開始に先立ち、荷送人により通告された運送品(海外引越し貨物)の価格が本運送証券、表面の所定欄に記載され、かつ割増運賃が支払われた場合に限り請求することができる。その場合、通告価格が限度となり一部の滅失、損傷は通告価格に基づき滅失、損傷の割合に比例して清算される。
(4) 前記第2項にいう計算単位は国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)の定める特別引出権(Special
Drawing Rights:SDR)とする。前記第2項の規定による金額は、訴訟が係属する裁判所の属する国の法令で定める日における、その国の通貨価値を基準とし、その国の通貨に換算されるものとする。
(5)
荷主により、もしくは荷主のために運送品(海外引越し貨物)がコンテナに詰められ且つコンテナに詰められた包み並びに単位の数が本運送証券の表面に記載されていない場合には中身全体を含むコンテナを運送人の責任の限度適用上1包みとみなされる。
(6)
運送人は運送品(海外引越し貨物)が荷揚港又は引渡し地に特定の市場、用途を満たすために、特定の時期もしくは時間内に到着することを保証するものではない。運送人は遅延その他の事由に基づくいかなる直接、間接又は派生的損失、損害についても一切の責任を負わない。上記の権利を害することなく運送人が遅延に対して責任があると判明した場合には、当該運送区間に適用される運賃を責任の限度とする。
第24条 抗弁
本運送証券に定める抗弁及び責任制限は、訴訟が契約、不法行為その他のいずれに基づいてなされるものであっても、運送品(海外引越し貨物)の滅失、損傷、又は引渡しの遅延に関して運送人に対し起訴される一切の訴訟について適用される。
第25条 使用人、代理人その他の者の責任
(1)
運送品(海外引越し貨物)の滅失、損傷に関して、運送人の使用人、代理人又はこの約款によって証される運送の履行のために運送人がその役務を調達する全ての実運送人、その使用人、代理人を含むその他の者に対して訴訟が提起された場合は、これらの使用人、代理人又はその他の者は、運送人がこの約款下で行使できる抗弁及び責任制限を援用できるものとし、運送人はこれらの規定に関し運用契約の締結に当り、自己のみならず、使用人、代理人及びその他の者の受託者として、契約を締結するものとする。運送人、使用人、代理人又はその他の者から賠償を得ることが出来る総額は、いかなる場合であってもこの約款に規定される制限額を超えないものとする。
(2) 荷主が運送人の使用人、代理人、その他の者の使用人並びに代理人対して行った賠償請求に関してこれらの者が運送人に対し行う一切の賠償請求を運送人に補償するものとする。
第26条 損害の通知と出訴期間
(1)
運送品(海外引越し貨物)の滅失、損傷及びその概況がこの運送証券の下でその引渡しを受ける権利を有する者の管理下へ移される前もしくはその時に滅失、損傷が外部から認められない物である時、その移転時から連続7日以内に引渡し地において運送人に対し書面により通知されない場合は、運送人がこの運送証券の表面記載の運送品(海外引越し貨物)を引き渡したことの一応の証拠となる。
(2)
運送人は運送品(海外引越し貨物)の引渡し後又は引き渡すべきであった日から9ヶ月以内に、訴訟が提起されない場合、この約款の下で一切の責任を免れる。当該期間が国際条約又は強行的に適用される国内法に低触するときは、その場合に限り当該国際条約、国内法の規定する期間が適用されるものとする。
第27条 荷主の責任
(1) 荷主は、本約款の条件に合意するに当り、自己が運送品(海外引越し貨物)又は本運送証券の所有者又は所持人本人であること。もしくは所有者又は所持人の代理権者であることを保証するものとする。
(2) 第1条の荷主の定義に該当する全ての者は、本運送証券に基づき荷主が引受ける義務一切を履行する責任を連帯して負うものとする。
(3)
荷主は税関、港湾、その他の公的機関の全ての規制、命令を遵守するものとし、規則及び命令を遵守することを怠り、運送品(海外引越し貨物)に係る違法、不正確、不十分な記号、番号、もしくは宛先の記載により発生し被る全ての関税、税金、罰金、賦課金、費用、損害額(追加運送の運賃を含み)を負担し、且つ運送人に対して補償しなければならない。
第28条 荷主の詰めたコンテナ
(1)
コンテナが運送人により詰められた物でないときは、本運送証券はコンテナのみの受領証に過ぎず、運送人は、中身に係る滅失、損傷についての責任を負わない。また荷主は次の原因による運送人が被った滅失、損傷、責任、費用を運送人に補償しなければならない。
【a】コンテナ詰めの方法
【b】中身がコンテナ運送に不適当な物品であること
【c】荷主がコンテナ詰めの時に又は事前に相当な検査を行ったのであれば発見できたコンテナの不適正、欠陥
(2) 荷主は中身をコンテナ詰めするにあたって全てのコンテナを検査するものとする。当該コンテナの使用はコンテナが使用のてめ正常かつ適正であることの一応の証拠とみなす。
(3) コンテナが封印に異常なく引き渡されたものであるときは、当該引渡しをもって本運送証券に基づく運送人の義務の完全な履行であるとみなす。さらに運送人はコンテナの中身の滅失、損傷について一切責任を負わない。
第29条 運送人のコンテナ
(1)荷主は荷主自身、その代理店または荷主により、荷主のために雇われた内陸運送人の占有、管理下で発生した運送人が提供又は手配した全てのコンテナ及びその機器に係る一切の滅失、損傷に対して全責任を負う。さらに、運送人へは損害を補償しなければならないものとする。
(2)荷主、その代理人、荷主により荷主のために雇われた内陸運送人よる取扱、占有、管理下間にある運送人が提供、手配したコンテナ、その他機器、コンテナの中身に起因する第三者の財貨の滅失又は損傷、第三者の傷害又は死亡について運送人は一切の責任を負わない。さらに荷主は、それらについて運送人に損害を補償し、責任を負担させないことを保障するものとする。
(3)運送人が提供、手配したコンテナの中身を荷主の施設で取出した時は、荷主は空コンテナを内部のブラシかけをした上、汚れがない状態で、運送人の指定する地点又は場所へ指定期日までに返却する責任を負う。コンテナを運送人の指定期日まに返却しない場合、荷主は未返却により生じる一切の留置料、損失、費用について責任を負うものとする。
第30条 運賃及び料金
(1)
本運送証券の表面に記載された引渡地までの運賃全額は、当該運賃が前払いもしくは着払いであると記載されているかを問わず、運送人の受取時に全額収受されたものとみなされる。さらに運送品(海外引越し貨物)に係る諸料金は、発生次第運送人に払われなければならない。
(2)
運賃及びその他料金について運送人は、その支払いを受けたと否とを問わず、いかなる状況下(航海又は運送が中止、不達成、放棄となった等)となった場合でも、その請求権を有する。荷主は運賃及びその他料金を控除、反対請求又は相殺することなく全額を現金で支払うものとする。
(3)
荷主は荷造りの不完全又は免責危険によって生じた荷造りの修理、袋詰め、手直し、並びに詰め替えに要する諸費用や消毒、保全、管理、占有の回復、その他運送品(海外引越し貨物)の利益のため行う措置によって発生した諸費用について支払い責任を負う。
(4)
運賃額、運送品(海外引越し貨物)
の重量又は運送品(海外引越し貨物)を運送する船舶のトン数等を基礎として賦課された全ての公租、公課、税金は、荷主の負担とする。
(5) 荷主が運送品(海外引越し貨物)又はその一部を船舶もしくはその他の運送手段に理由のいかんを問わず積むことができなかった時、荷主は運送人が被る全ての罰金及び損失について責任を負うものとする。
(6)
運賃は、荷送人又はその代理人により通告された明細に基づき計算されたものである。荷送人又はその代理人により通告された明細が不正確な場合、正当な運賃の2倍金額から請求運賃を差し引いた差額を、合意により確定損害賠償金として運送人に支払うものとする。
(7) 荷送人、荷受人、運送品(海外引越し貨物)の所有者及び本運送証券の所持人は、運送人に対し連帯して、運賃及び料金の支払い、本運送証券に基づく義務の履行につき責任を負うものとする。
第31条 リエン
(1)
運送人は本運送契約もしくはその他の契約に基づき、何人に支払われるべきものであっても運送人に支払われるべき金額、共同海損負担金並びに、その回収費用のため運送品(海外引越し貨物)及びこれに関する書類に対しリエンを有する。よって荷主に通知することなく運送品(海外引越し貨物)及び書類を荷主の費用及び荷主に対して何ら責任を負うことなく、公の競売もしくは私的取引により売却する権利を有する。
運送品(海外引越し貨物)売却の結果、売却価格が未払い金の合計額に満たないときは、運送人はその不足額を荷主から回収する権利を有する。
(2)
運送品(海外引越し貨物)が相当の期間内に引取られない場合もしくは運送にの判断により運送品(海外引越し貨物)が品質劣化、腐敗、無価値となる恐れがあるときは、運送人は自己の裁量でリエンに基づき何ら責任を負うことなく荷主の危険と費用負担により運送品(海外引越し貨物)を売却し放棄又は他の方法により処分することができる。
第32条 共同海損
(1)
共同海損
は運送品(海外引越し貨物)の運送船舶及び同船舶の所有者が指定する港又は場所において、1990年に改正された1974年ヨーク・アントワープ規則、もしくはその改正及び運送品(海外引越し貨物)のために発行される船荷証券に記載された清算のための港又は場所におけるその他の規則、法令、慣習に従って精算書を作成し精算し、且つ決済するものとする。荷主は運送品(海外引越し貨物)の引渡し前に請求があった場合、運送人又は船舶所有者が運送品(海外引越し貨物)に関する共同海損推定分担金額、海難救助料、その他特別な費用に充当するに十分であるとみなす金額の供託金を当該運送人又は船舶所有者に差し入れするものとする。
(2)
運送人が共同海損分担金の支払いに関する担保を取得せずに運送品(海外引越し貨物)を引渡した場合、荷主は運送品(海外引越し貨物)を受取ることにより、分担金の支払い及び運送人が要求する推定分担金額に対する供託金又はその他の担保を提供することの責任を負うものとする。
第33条 双方過失衝突約款及びニュージェイソン約款
運送品(海外引越し貨物)に対し運送船舶の船主又は運航人が発行する船荷証券に定める双方過失衝突約款及びニュージェイソン約款は、運送人が援用できるものとし、本運送証券の一部として摂取される。尚、規定されたものと同等の効力及び効果を有するものとみなす。
第34条 契約の変更
運送人の使用人もしくは代理人は、本運送証券の条項を放棄し又は変更する権利を有しない。但しその放棄又は変更が書面によるものであり、且つ運送人により書面をもって明確に委任、承認されたものであるときはこの限りではない。
第35条 米国地域約款
(1) 本運送証券に基づく運送が米国の港又は地点発着、もしくは経由の運送である場合、本運送証券は1936年4月16日に承認された米国海上物品運送法(US
COGSA)に準拠するものとし、同法の規定は本約款に摂取されたものとみなす。海上又は内陸水上運送を通じて、米国の臨海ターミナルにおいて船積前又は全ての実運送人の実際の管理下にある全期間を通じて至上約款とする。
(2) US
COGSAが適用されたとき、運送人の責任は1包もしくは習慣的な運賃単位に基づき500米ドルを超えないものとする。但し、本運送証券の表面に運送品(海外引越し貨物)の種類及び価格が通告された場合は、本運送証券第23条によるものとする。
(3)
運送人は運送品が米国内の臨海ターミナルを離れ、かつ運送人の実際の管理下にないときは運送品の滅失、損傷又は遅延について責任を負わない。運送人の責任は(単・複数の)内陸運送人による運送を代理人として調達することであり、当該運送は内陸運送人の運送契約、タリフ及び強行的に適用ある法律に基づいて行われるものとする。運送人は内陸運送人がその運送契約及びタリフに基づいて運送を履行することを保証する。このような時、運送人が代理人として行動することを認められない場合には、運送品の滅失、損傷又は、遅延に関する運送人の責任は本運送証券第22条もしくは23条に基づいて負うものとする。